週刊ベースボールONLINE

MLB最新事情

【MLB】野球殿堂記者投票 野手で史上初の満票は起こりうるか?

 

三塁手として3000安打以上、450本塁打以上を記録しているベルトレが野手史上初の満票での殿堂入りとなるだろうか!?


 今年も新たな野球殿堂入りを決める記者投票の時期が近付いてきた。可能性が高いのは1年前に5度目で72.2%の票を得たトッド・ヘルトン一塁手、8度目で68.1%のビリー・ワグナー投手、微妙なのが6度目で58.1%のアンドリュー・ジョーンズ外野手である。

 あらためて書くまでもないが、殿堂入りに必要なのは75%の票で、10度目までに超えないといけない。今年から新たに投票の対象になった選手の中ではエイドリアン・ベルトレ三塁手が1度目での選出が確実で、微妙なのがジョー・マウアー捕手。ほかに、今年から投票対象となったのはチェイス・アトリー二塁手、デビッド・ライト三塁手、ホセ・バティスタ外野手、マット・ホリデー外野手、バートロ・コロン投手、エイドリアン・ゴンザレス一塁手、ホセ・レイエス遊撃手などだ。

 2002年から15年くらいまでの間に、日本人メジャー・リーガーたちとチームメートだったり、戦った選手が多く、筆者も何度も取材した記憶がある。特にベルトレはドジャースでは野茂英雄石井一久、マリナーズではイチロー、レンジャーズではダルビッシュ有らと一緒だった。印象に残るのは特殊なスローイングスタイル。三塁手であればゴロを処理して、流れるような動きの中で一塁に投げるのだが、彼は捕球後ぴたりとその場で足を止め、そこから矢のような送球を見せた。

「最初は普通に投げようとしたが、マイナー時代にエラーが多かった。足を止めたほうが正確に投げられた」と説明している。5度のゴールドグラブ賞に加え、打撃はMLB通算3166安打、477本塁打、1707打点。スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のベテラン記者ジェイソン・スタークは野手で史上初の満票選出もありうるとしていた。

 満票はこれまでマリアノ・リベラ投手だけで、デレク・ジーターが1票、ケン・グリフィー・ジュニアが3票足りなかったように、400人近い投票者(昨年は389人)の中には、考え方が異なる記者が大抵いる。筆者は来年投票対象になるイチローに満票の可能性があると考えていたが、スターク記者が正しければその前にベルトレが栄誉に浴するのかもしれない。

 マウアーは11年に西岡剛がツインズ入りしたときの看板選手。09年のア・リーグMVPで、捕手で3年連続ゴールドグラブ賞獲得、3度も首位打者に輝いていた。大スターなのに、偉ぶったところはまったくなく、紳士的で、記者にも丁寧に接してくれた。しかしながら30歳のシーズンに脳震盪を発症、現役最後の5シーズンは一塁手で、一塁手時代は打率.278、長打率.388と成績はパッとせずオールスターにも選ばれなかった。

 捕手としてメジャーでプレーし始めた年はヤディア・モリーナと同じだが、捕手年数は約半分、優勝もできなかった。ゆえに1度目での選出はなさそうで、おそらく2、3度目に75%を超えるのではないか。ほかの選手では、投票回数を重ねることにはなるが、ポストシーズンで黒田博樹投手や松井秀喜選手としのぎを削ったフィリーズのアトリー二塁手も、いずれ殿堂入りするのではと考えている。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
MLB最新事情

MLB最新事情

メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング