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【MLB】ヤンキースがトレードでソト獲得 世界一目指し覚悟の補強

 

ヤンキースへトレードが決まったソト。まだ25歳ながら実績は十分で、これからのヤンキースをけん引できる。チームはさらに山本由伸の獲得も目指している


 有言実行だ。ヤンキースのハル・スタインブレナーオーナーはプレーオフ進出を逃した2023年シーズンについて「受け入れられない。大きな変革を約束する」と明言した。一番の補強ポイントは得点数で30球団中25位だった打線。左の強打者が必要だったが、2対5の大型トレードでパドレスからフアン・ソトを獲得した。

 調停権を持っており、24年の年俸は3300万ドル前後。だがそれにとどまらず、長期契約を結ぼうとするだろう。ソトの代理人はスコット・ボラス氏。総額5億ドルの契約を目指していると言われている。加えてFAの山本由伸の獲得。今季は誰にも背番号18番を着けさせず、準備をしてきた。

 ほかのビッグマーケットチームも獲得に必死で、契約総額は3億ドルに近づいていると言われる。もし両獲りとなり、ソトとの長期契約でも合意できれば総額はなんと8億ドル(約1178億円)に上る。ヤンキースは13年のオフ、4億3800万ドルを費やし、田中将大ジャコビー・エルズベリー、カルロス・ベルトラン、ブライアン・マッキャンを補強した。08年のオフは4億2450万ドルでC・C・サバシア、マーク・テシェイラ、AJ・バーネットを獲得した。だがこのオフ、プランどおりに進めばそれらをはるかに上回る規模になる。

 1年前、メッツのスティーブ・コーエンオーナーが開幕時のチームのサラリー総額を史上最大の3億5000万ドルにしたことで球界を驚かせたが、ヤンキースの24年はそれを上回ってしまいそうだ。スタインブレナーオーナーは「ビッグ・ボス」と呼ばれた父親ジョージ・スタインブレナーに比べると常識人であり無茶はしないタイプだったが、このオフは覚悟を決めたのだろう。

 ヤンキースは球界の看板選手であるアーロン・ジャッジとゲリット・コールのチームだが、すでに30代、2人だけでは勝てない。23年のルール変更で、身体能力の高い若手アスリートがより有利になったため、若返りを図っている。具体的には24歳のオースティン・ウェルズ捕手や、内野手では22歳のアンソニー・ボルペ、23歳のオズワルド・ぺラザ、外野手では、22歳のエバーソン・ぺレイラに20歳のジェイソン・ドミンゲスらを抜擢している。

 とはいえメジャー経験の少ない彼らはまだまだ計算できない。そこで25歳と若い上に、実績も十分なソトと山本の両獲りを目指したのである。彼らはこれから10年間、第一線でチームをけん引できる。08年のオフのサバシアとテシェイラは09年に世界一を実現した上に、その後も主力としてチームを引っ張れた。同じことを期待する。

 もっともこの原稿を書いている12月8日の時点では、山本を本当に獲得できるかどうかは分からない。ヤンキースは11日にロサンゼルスで山本本人に会う予定だが、メッツは先週スティーブ・コーエンオーナーがデビッド・スターンズ編成本部長を連れて訪日、すでに本人に会っている。

 地元メディアの報道によると和食とフランス料理を楽しみ、家族とも対面したそうだ。それ以外ではドジャースとジャイアンツも必死。絶対に獲得できるとは言えない状況ではある。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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