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【MLB】中米の10代の国際選手の契約がスタート 最高額は500万ドル

 

国際選手で結果を残しているのはゲレーロ・ジュニアくらい。そのあとに続くことができるだろうか


 2024年度、アメリカ、カナダ、プエルトリコ以外の国際選手との契約が1月15日にスタートした。06年9月1日から07年8月31日までに生まれた選手で、各球団に割り当てられた同年分のボーナスプール(契約金枠)から獲得資金を出す。

 初日、最高額の契約金を受け取ったのはベネズエラの遊撃手ホセ・ペルドモでブレーブスから500万ドル。同球団のスカウトは12歳から注目していたそうで、短いスイングで確実にバットにボールを当てラインドライブを飛ばす。若いころのミゲル・カブレラを彷ふつとさせるそうだ。

 ブレーブスが使えるボーナス枠は592万5000ドルで12人と契約したが、そのほとんどを一人に使った。2番目はパドレスが獲得したドミニカ共和国のレオダリス・デブライエス遊撃手で420万ドル。スピードのあるスイッチヒッターでパワーも兼ね備える。ガーディアンズのスーパースター、ホセ・ラミレスと出身地が近く、よくアドバイスをもらうそうだ。

 パドレスは1年前も560万ドルでベネズエラの大物捕手イーサン・サラスを獲得、昨季早くも2Aに昇格し話題になった。3番目はカブスがサインしたドミニカ共和国のフェルナンド・クルーズ遊撃手で400万ドル。かつて同球団で活躍したスターリン・カストロ遊撃手の従兄弟である。彼らは17歳と未知数ゆえ、期待どおりメジャーでスターへ成長するかどうかは分からない。

「ベースボールアメリカ誌」によると過去10年、No.1と評価された国際選手のその後はさまざまだ。出世頭は15年のブルージェイズのブラディミール・ゲレーロ・ジュニア一塁手だが、一方で14年のエイドリアン・ロンドン内野手は1A止まり、16年のケビン・メイタン内野手は2A止まりだった。13年のエロイ・ヒメネスは19年にホワイトソックスでメジャー・デビューを果たし、打つほうはまあまあだが、守備が悪いため出場機会は限定されている。

 17年のレイズのワンダー・フランコは期待どおりで21年に11年総額1億8200万ドルの大型契約を結んだが、未成年者と不適切行為に及んでいたことが発覚、現在休職中だ。今年が勝負の年になるのは18年のマルコ・ルシアーノ。22歳で、ジャイアンツの正遊撃手としてチャンスを与えられる。スイング速度が素晴らしく広角にパワーを発揮できる。19年のジェイソン・ドミンゲス中堅手は、昨季9月にヤンキースでデビュー、初打席でジャスティン・バーランダーから本塁打を打つなど8試合で4本塁打の大暴れ。しかしながら肘のじん帯を痛め、トミー・ジョン手術を受けた。

 20年以降の選手については真価を問われるのはまだ先だ。MLB公式サイトは24年の国際選手のトップ50有望株リストを発表しているが、ポジション別では内野手が26人、外野手が18人、捕手3人、投手2人だった。これを見ると投手の数が少ないが、実際にはドジャースが19選手と契約して内7人が投手であるように、投手は多めに獲得する。

 しかしながら16、17歳でトップリストに入る投手は珍しく、目玉になる選手は身体能力の高い遊撃手や中堅手なのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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