2023年シーズンのキーマンが語る連載、第3回目は、「アレ」を目指す阪神の先発ローテ左腕だ。プロ入り2年間で、安定感抜群の投球を示しているが、1年目10勝、2年目は9勝にとどまった。もう一つカベを破っていくことで見えてくるものがあるはずだ。 取材・構成=相屋博幸 写真=宮原和也 打者を押し込む球へ
昨年の最速は147キロ。チームでも速いほうとは言い難い。それでも伊藤将司は、真っすぐにこだわる。2年目のキャンプで、その精度を上げたことで2年目のジンクスを回避し、結果を残した。投球の生命線である「ストレート」を3年目の今春も磨き続けている。 ──春季キャンプは順調に過ごしているように見えます。
伊藤 球数も多く投げて、思いどおりにできていますし、ボールを離す感覚もいい感じで投げられていますので、順調だとは思います。
──感覚がいいというのはどの部分でしょうか。
伊藤 このキャンプはストレートを中心につくりあげていこうと考えていました。そのストレートが、しっかり指先に掛かっていますし、ブルペンでは思いどおりにコースへと投げられているので、いい感じだなと思います。
──ストレートを磨いていく、というのには何か大きな理由があるのでしょうか。
伊藤 昨年(プロ2年目)のキャンプでストレートを磨いてシーズンに臨んだんです。それによりストレートが強くなり、シーズン中でもストレートで打者を押すことができたんです。そういう経験があったから、今年もまずはストレートを磨いていこうということにしました。
──それにより入団から2年連続で先発ローテを全うできたのですね。
伊藤 ただ後半戦で勝てなかったことが多かった。その対策としても、もっとしっかりストレートを投げ込んで、体をつくって、シーズンを投げ抜いていきたいと思っています。
──2年目が終わり3度目のキャンプですが、この2年の経験が、何か新しい考えをつくり出していることはありますか。
伊藤 この2月の春季キャンプの段階でしか、体を追い込むことはできないということが、プロに入り2シーズンを過ごして感じたことです。今も2月でどれくらい投げ込めるかがシーズンに直結すると思いながら投げていますし、そこが今年は重要なのではないかな、と思っています。
──投げ込みがシーズン後半に効いてくるという考えでしょうか。
伊藤 疲れた状態でどれだけ投げ込んでいけるかをやっていくことで、後半戦に生きていくのかなと思います。この状態でこういうふうにいけるということが自分の中で理解できれば、自分自身への確認にもなります。疲れた中で、自分がある程度のパフォーマンスを図っていければ、うまく後半戦にも対応できるかなと思っています。
──ここまでは一つひとつ課題を潰してきていますね。
伊藤 はい。大きな変化もなく、一つひとつの課題をしっかりと潰してクリアしてきているとは思います。
──実際に昨年は2年目の難しさを感じる部分はあった。
伊藤 感じるというよりも・・・
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