昭和世代のレジェンドの皆さんに、とにかく昔話を聞かせてもらおうという自由なシリーズ連載。徳武定祐さん編の最終回は、現役引退後の指導者時代、そしてあの有名歌手と親子関係になったお話を伺いました。
文=落合修一

2回やった監督代行「あの仕事は大変だ」

――前回からの続きです。1970年に中日で現役引退された徳武さんは、翌年(71年)は1年間、ドジャースで本場の野球を学んだそうですが、その後はどうしたのですか。

徳武　中日のコーチに呼ばれました。最初は二軍打撃コーチだったのですが、73年から一軍打撃コーチ。そこで高木守道と出会ったんです。もうベテランになっていましたが、打撃指導することによって成績を伸ばすことができて、僕の打撃理論に共鳴してくれた。のちに守道が引退して監督になったら僕を呼んでくれたので、ここでも人との縁ができたということですね。

――金田正一監督のロッテにも呼ばれましたよね。

徳武　そうですね。ロッテにもしばらくいて(77〜91年)、新人時代の落合博満、スイッチヒッターに転向する西村徳文などを二軍で指導しましたから。中日時代は谷沢健一、田尾安志なんかもね。打撃タイトルを獲得するような選手を、結構見ているんですよ。

――若手のころの落合博満さんは、どういう選手だったんですか。

徳武　偏屈な男でした。右打者なのに、レフトには全然打球が飛ばない。ライトにばっかり飛ぶんです。

――で、92年に高木守道さんが中日監督に就任すると、徳武さんも中日に復帰。

徳武　そう。そこでヘッドコーチに呼ばれました。

――94年の中日対巨人の「10.8」の有名な試合のときも、ベンチにいたんですよね。

徳武　あの試合はねえ・・・