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あの日、あのとき、あの場所で 球界の記念日にタイムスリップ

<1956年3月21日>「高額の契約金で入団」とイメージが付いた穴吹義雄が史上初の新人開幕戦サヨナラHR

 

その試合当日の写真は弊社に残されていない。この貴重な試合中のバッティング場面のカットは華やかな装飾を施された巨人戦なので、1959年の日本シリーズと推定される


金額で南海を選んだわけではない


「ゴジラ」の異名をもつプロ野球選手といえば、誰もが松井秀喜(巨人)を連想するに違いない。だが、この大怪獣の名をこれまで冠された選手は松井だけではない。その第1号は、おそらく1956年に南海ホークスに入団した穴吹義雄であろう。

 50年代初頭、香川の高校球界には高松一高の「怪童」中西太(のち西鉄)が君臨していた。だが、中西と同学年で高松高にいた穴吹もまた強打で名を馳せた選手だった。その穴吹の打棒は、中大に進学するとますます冴え渡る。3年秋と4年春のリーグ戦では首位打者を獲得。通算111安打は、当時の東都大学野球連盟記録であった(現在は5位)。

 そんな「ゴジラ」をプロ野球が放っておくわけがない。巨人、西鉄、中日、毎日などが穴吹獲得に血道を上げた。当時はまだドラフト制度ができる前の自由獲得時代である。選手は自由に球団を選べたし、契約金にも上限はなかった。そうなると、各球団の「誠意」を示すものが金額になるのは当然のことだった。

 穴吹の話題になると、必ずと言っていいほど引き合いに出される本がある。『あなた買います』。56年、中部日本新聞記者を経て毎日のスカウトになった小野稔が穴吹争奪戦をモデルに書いた小説である。同年に早くも映画化され評判を呼んだこの作品こそが・・・

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