
1968年7月24日のオールスター第2戦[後楽園]で撮影された写真。左が鈴木[近鉄]、右は鈴木よりも1学年下の江夏[阪神]。2人は高校時代に投げ合ったことがある
阪神が鈴木を回避した翌年、江夏を指名
江夏豊(阪神ほか)と
鈴木啓示(近鉄)。1960年代後半から80年代前半にかけてNPBを代表するサウスポーであったこの2人は、高校時代に一度投げ合ったことがある。
それは江夏が大院大高2年のときのこと。兵庫の名門・育英高に出向き、練習試合が行われた。その育英高のエースが「1億円の左腕」と呼ばれ、全国的に有名だった1学年上の鈴木だった。ともに完投した試合は、延長15回引き分けで終わる。江夏は15個の三振を奪った。見事な投球と言うべきだろう。しかし、鈴木の奪三振数はそれをはるかに上回った。江夏の証言によればその数、実に27。鈴木の投じるストレートは凄(すさ)まじく速く、カーブは「お化けみたい」に曲がった。「兵庫にとんでもない投手がおる……」。それまで大阪で一番の投手だと自負していた江夏だったが、鈴木の存在に大きな衝撃を受けた。
2人のサウスポーの因縁は、プロ入り時にもあった。65年秋のドラフトで、鈴木は自身もファンだった阪神からの1位指名が確実視されていた。しかし阪神は・・・
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