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【90's FILE】阪神・92年の2位が最大のハイライト 10年間で6度最下位の暗黒時代

 

92年、亀山努[左]と新庄剛志[右]がすい星のごとく登場して大活躍。投手陣の踏ん張りとともに2位躍進の原動力になった。しかし、その後はまた低迷しAクラス入りはできなかった


10年間唯一の2位で大フィーバー


【90年代成績】561勝754敗5分勝率.427(リーグ6位)

 90年代の阪神は10年間で最下位6度のまさに“暗黒時代”。Aクラス入りはわずか1度と不振を極め、長く暗いトンネルの真っただ中にいた。

 90年に中村勝広新監督が就任すると、90、91年と連続最下位。91年にいたっては開幕から閉幕まで完全最下位の惨敗だった。唯一の明るい話題は、シーズン終盤の9月、中込伸湯舟敏郎野田浩司猪俣隆葛西稔と5試合連続でドラフト1位入団投手が完投勝利の快挙を達成したこと。この快投が翌年の快進撃につながっていく。

 迎えた92年。阪神にとって90年代最大のハイライトシーズンとなった。仲田幸司、猪俣、湯舟、中込、野田らの先発陣が好調で12球団一のチーム防御率2.90をマーク。打撃陣は実績のなかった亀山努、新庄剛志の若い戦力が大ブレークしてチームはが然活気づく。85年以来の優勝かとフィーバーは最高潮に達するが、ヤクルトとの直接対決に敗れて最後は巨人と同率2位に。土壇場でのV逸も、この勢いが翌年への布石となるはずだったが……。

 今度こそと、意気込んだ中村監督は、攻撃力を重視するあまり、先発ローテの野田浩司をオリックスへ放出し松永浩美を獲得。このトレードが大誤算となった。移籍後オリックスで17勝を挙げ、その後連覇に貢献した野田に対し、松永はたった1年でダイエーへFA移籍。整備されたはずの投手陣崩壊は痛手だった。結果、93、94年と連続4位に。93年はオマリーが首位打者を獲得して気を吐き、94年は藪恵市が新人王に輝いた。95年には中村監督が途中休養。藤田平二軍監督が監督代行を務めたが、低迷から抜け出せず球団ワーストの84敗で最下位に沈んだ。戦力外通告を受けた真弓明信がこの年、ユニフォームを脱いだ。

90年代後半は最下位4度の惨状


 6年間の在任期間中、3度最下位に沈んだ中村監督が辞任。代行監督を務めていた藤田監督が96年も指揮を執ったが、チームを再建することはできず2年連続最下位。チーム打率は両リーグ最低で貧打は解消されなかった。

 97年には、再建の切り札に85年の日本一監督・吉田義男監督が招へいされる。3度目の就任は受難の連続だった。3億円で獲得した大物助っ人・グリーンウェルはわずか7試合で帰国。お騒がせ助っ人は「神のお告げ」と言い残してチームを去っていった。弱体打線も相変わらずで5位止まり。98年も深刻な打撃不振で最下位に低迷し、吉田監督はわずか2年で退任。ルーキー・坪井智哉は新人歴代2位となる打率.327をマークしたことが明るい話題となった。

 生え抜き監督がチーム再建に苦しむ中、外部招へいで活路を見いだそうと、ヤクルト黄金時代を築いた野村克也監督に白羽の矢を立てた。名将の就任に期待は膨らんだが、現実は厳しい結果に。6月に一時は首位に立ち、新庄剛志の“敬遠球サヨナラ安打”でファンのボルテージは上がるも、球宴後は5位に転落し9月には球団ワーストタイの12連敗。借金25で2年連続最下位に終わった。大豊泰昭やメイらと野村監督の確執が取り沙汰される不協和音も。90年代弱体阪神の再建は、どの監督をもってしても容易ではなかった。

■年度別成績

■90's TIGERS ベストナイン

■ベストオーダー
△は左打ち

打順/位置/選手名
1(中) 新庄剛志
2(左)△亀山努
3(右)△桧山進次郎
4(一)△オマリー
5(三) 八木裕
6(二) 和田豊
7(遊)△久慈照嘉
8(捕) 山田勝彦
9(投) ―――

■ベスト投手陣(先発6、中継ぎ3、抑え1)
△は左投げ

選手名/試合/勝利/敗戦/セーブ/防御率
<先発>
△湯舟敏郎/202/55/72/3/3.85
 藪恵壹/164/54/74/0/3.53
△仲田幸司/176/29/52/3/4.09
 野田浩司/95/27/35/7/3.85
 川尻哲郎/141/39/44/3/3.42
△猪俣隆/128/34/50/0/3.74

<中継ぎ>
古溝克之/192/13/25/42/3.53
 葛西稔/256/28/32/11/3.67
 ベン・リベラ/73/3/4/39/1.84

<抑え>
田村勤/245/13/11/54/2.72

■タイトルホルダー

<首位打者>
オマリー 93年 .329

<最高出塁率>
オマリー 92年 .460
オマリー 93年 .427
オマリー 94年 .429

<最多奪三振>
仲田幸司 92年 194

<最優秀新人(新人王)>
久慈照嘉 92年
藪恵壹 94年

トーマス・オマリー[1991〜1994]

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