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よみがえる1990年代のプロ野球

【90's FILE】近鉄・トルネード旋風から大阪ドーム移転 いてまえ打線復活も投手陣が壊滅状態

 

仰木彬監督[右]が指揮を執った90年代前半は野茂英雄[左]が無双状態の活躍を見せた


トルネード野茂が鮮烈デビュー


【90年代成績】651勝628敗36分勝率.509(リーグ3位)

 1990年代の近鉄はAクラス入り5度を果たすも優勝はできず、後半になると徐々に低迷期へと入っていった。それでも、野茂英雄のトルネード旋風や“いてまえ打線”と個性派選手が登場した印象深い時代でもある。

 3位を死守した90年は90年代の象徴とも言える野茂が鮮烈デビュー。ルーキーながらMVP、最多勝、最多奪三振、沢村賞など投手タイトルを総ナメに。初勝利のオリックス戦で17奪三振のプロ野球タイ記録、21試合2ケタ奪三振の新記録を打ち立てるなど、トルネード投法からの奪三振ショーは圧巻だった。91年は王者・西武を最後まで追い詰める大反撃を見せ2位に食い込む。77勝は球団新記録。開幕10連勝の小野和義が投手陣を引っ張り、出遅れた野茂も17勝で最多勝に輝いた。抑えの赤堀元之が台頭。本塁打リーグ1位、打率同2位といてまえ打線も健在でジム・トレーバーが打点王となった。

 連続2位の92年。前半不振だった野茂はこの年も後半の巻き返しで18勝して年連続最多勝。最優秀防御率と最優秀救援投手に輝いた赤堀の好投が光った。打線は、ブライアントがリーグ2位の38本塁打を放ち、石井浩郎も29本塁打。指揮を執った5年間、Aクラスを守った仰木彬監督が勇退した。

中村、ローズでいてまえ打線復活


 チーム生え抜きの300勝投手・鈴木啓示新監督が就任した93年は6年ぶりのBクラスに転落したが、個々の活躍が際立つシーズンに。主砲・ブライアントは本塁打、打点の2冠を獲得し、大石大二郎は6年ぶりの盗塁王。投手陣は不動のエース・野茂が4年連続最多勝、赤堀が2年連続最優秀救援投手に輝くなど、充実した戦力を擁しながらも投打がかみ合わなかった。

 94年は打線爆発で2位に浮上。球宴明けから球団新記録の13連勝で熱パを盛り上げた。35本で本塁打王のブライアント、111打点で打点王の石井を軸に、破壊力抜群のいてまえ打線はファンを大いに沸かせた。オフには、大エース・野茂、阿波野秀幸吉井理人金村義明ら主力組がチームを去り、世代交代が進んでいく。戦力ダウンは否めず95年は8年ぶりの最下位に沈み、鈴木監督はシーズン途中休養。水谷実雄監督代行が指揮を執った。勝率3割台の惨敗も、中村紀洋大村直之ら新たなチームの顔が台頭し始める。

 96年から指揮を執った佐々木恭介監督時代。最下位からの巻き返しを図ったが1年目は4位、97年は3位に浮上するも、98、99年は5位、6位に低迷した90年代後半最大のトピックは97年の大阪ドームへの移転だ。ユニフォームや球団旗も一新し、球団新記録の集客数を記録した。96年オフにトレードで巨人に移籍した石井浩郎に代わり、中村、タフィ・ローズらのいてまえ打線が復活。97年は小池秀郎が15勝で最多勝を獲得し、ローズ、フィル・クラークが打線をけん引した。98年は先発陣が精彩を欠くも、大塚晶文がリーグ新の35セーブをマークし、最優秀救援投手を受賞。地域密着を打ち出す「大阪近鉄バファローズ」に球団名を変更した99年は、ローズ、中村が本塁打、打点部門でツートップと打ちまくったが、投手陣は壊滅状態。4年ぶりの最下位で佐々木監督が辞任した。

■年度別成績

■90's BUFFALOES ベストナイン

■ベストオーダー
△は左打ち

打順/位置/選手名
1(二) 大石大二郎
2(遊) 水口栄二
3(左)△ローズ
4(指)△ブライアント
5(三) 中村紀洋
6(一) 石井浩郎
7(右) 鈴木貴久
8(捕) 古久保健二
9(中)△大村直之

■ベスト投手陣(先発6、中継ぎ3、抑え1)
△は左投げ

選手名/試合/勝利/敗戦/セーブ/防御率
<先発>
 野茂英雄/139/78/46/1/3.15
 高村祐/167/58/71/0/4.16
 山崎慎太郎/191/57/65/2/4.21
△小池秀郎/157/43/39/2/4.27
 岡本晃/87/27/31/0/3.92
 佐々木修/79/20/12/2/3.85

<中継ぎ>
 佐野重樹/340/40/31/27/3.61
清川栄治/216/7/7/9/3.16
 酒井弘樹/148/20/26/1/3.63

<抑え>
 赤堀元之/343/56/39/139/2.55

■タイトルホルダー

<最多本塁打>
ブライアント 93年 42
ブライアント 94年 35
ローズ 99年 40

<最多打点>
トレーバー 91年 92
ブライアント 93年 107
石井浩郎 94年 111
ローズ 99年 101

<最多盗塁>
大石大二郎 93年 31

<最優秀防御率>
野茂英雄 90年 2.91
赤堀元之 92年 1.80

<最多勝利>
野茂英雄 90年 18
野茂英雄 91年 17
野茂英雄 92年 18
野茂英雄 93年 17
小池秀郎 97年 15

<最高勝率>
野茂英雄 90年 .692

<最優秀救援(SP)>
赤堀元之 92年 33
赤堀元之 93年 32
赤堀元之 94年 33
赤堀元之 96年 30
赤堀元之 97年 33
大塚晶文 98年 38

<最多奪三振>
野茂英雄 90年 287
野茂英雄 91年 287
野茂英雄 92年 228
野茂英雄 93年 276

<最優秀選手(MVP)>
野茂英雄 90年

<最優秀新人(新人王)>
野茂英雄 90年
高村祐 92年

<沢村賞>
野茂英雄 90年

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