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よみがえる1990年代のプロ野球

【90's FILE】広島・山本浩二監督の91年に投手力でV 後半は打線活発も投手が崩壊し苦戦

 

山本浩二監督が率いた91年に5年ぶりのV。チーム本塁打はわずかに88本で、防御率3.23の強力投手陣が支えた


90年代唯一のV飾った91年


【90年代成績】653勝662敗6分勝率.497(リーグ4位)

 80年代に黄金期を築いた広島だが、90年代は一転、低迷期へと突入していく。チーム成績は振るわない一方で、選手育成の方針を打ち出し、次代を担う選手が成長した時期でもあった。

 90年は辛うじて貯金2の2位も、首位・巨人に22ゲーム差をつけられてV争いには一度も絡めなかった。ベテラン勢が精彩を欠く中、新人・佐々岡真司が先発、抑えでフル回転。17試合連続セーブポイントの新記録、2ケタ勝利&2ケタセーブをマークした。

 90年代、唯一頂点に立った91年。安定感抜群の投手力で5年ぶり6度目のリーグ制覇を遂げた。佐々岡が先発一本に専念し、最多勝、最優秀防御率の2冠、MVP、沢村賞とタイトル総ナメの活躍。北別府学川口和久も2ケタ勝利を挙げた。抑えに再転向した大野豊は14試合連続セーブのプロ野球新記録を樹立し、最優秀救援投手に。打線は2年連続盗塁王の野村謙二郎を軸に、機動力野球が光った。

 以降は世代交代が加速する。連覇を狙った92年は15年連続勝ち越しを決めたものの、首位・ヤクルトにわずか3ゲーム差の10年ぶりBクラス。投手陣は200勝を達成した北別府をはじめベテラン勢が健闘。打線は江藤智前田智徳らが台頭した。巧みなリードと独特なパフォーマンスで5度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献した達川光男が現役引退したシーズンでもある。93年は12連敗を喫するなど大失速。19年ぶり最下位に沈み、5年間指揮を執った山本浩二監督が辞任した。

“ポスト黄金世代”が成長


 山本政権からバトンを引き継いだ三村敏之監督は94年から5年間チームを率いて4度Aクラス入りしたが、優勝には届かなかった。

 94年は前半出遅れるも後半の快進撃で3位に食い込む。江藤と前田が首位打者争いを繰り広げるなど打線は活発でチーム打率1位。一方、投手陣は高齢化が浮き彫りとなり防御率最下位に。黄金時代のエース・北別府が19年間の現役生活に別れを告げた。

 タイトルホルダーが続出した95年は2位へと躍進。江藤が本塁打、打点の2冠、野村は3割30本塁打30盗塁のトリプルスリー、緒方孝市は初の盗塁王に輝いた。14勝を挙げたルーキー・山内泰幸が新人王を受賞。投打のバランスが抜群だっただけに、ヤクルト戦での負け越しが悔やまれる。

 96、97年は2年連続の3位。96年は6月から首位を快走していたが終盤巨人に大逆転Vを決められる屈辱を味わう。3割打者5人を出した打線は強力だった。97年はまたも終盤失速で、勝率5割を切る。投手陣は澤崎俊和が12勝で新人王、42歳のベテラン・大野が史上最年長で最優秀防御率を獲得。ルイス・ロペスは2年連続打点王に輝いた。

 98年は4月にルーキー・小林幹英が月間MVPの活躍でチームは9連勝とスタートダッシュに成功。しかし、この年も勢いは長続きしない。大型連敗を繰り返す急失速で24年ぶりに全球団に負け越し、5位に沈む。広島一筋の大野、正田耕三も現役を引退した。

 99年、再建を託された達川光男(達川晃豊に改名)監督が就任するも、2年連続の5位。ここから2012年まで長いBクラス低迷期が続くことになる。

■年度別成績

■90's CARP ベストナイン

■ベストオーダー
△は左打ち、□は両打ち

打順/位置/選手名
1(遊)△野村謙二郎
2(二)□正田耕三
3(右)△前田智徳
4(三) 江藤智
5(左)△金本知憲
6(一) ロペス
7(中) 緒方孝市
8(捕) 西山秀二
9(投) ―――

■ベスト投手陣(先発6、中継ぎ3、抑え1)
△は左投げ

選手名/試合/勝利/敗戦/セーブ/防御率
<先発>
 佐々岡真司/364/91/92/90/3.20
 紀藤真琴/255/54/45/3/4.14
△川口和久/136/46/54/0/3.64
 北別府学/92/42/25/0/3.75
 山内泰幸/152/40/40/0/4.39
 長冨浩志/132/33/40/1/4.46

<中継ぎ>
 秋村謙宏/169/9/11/3/4.31
 望月秀継/161/21/19/7/3.94
 玉木重雄/144/12/11/3/4.50

<抑え>
△大野豊/256/48/36/100/2.88

■タイトルホルダー

<最優秀選手(MVP)>
佐々岡真司 91年

<最優秀新人(新人王)>
山内泰幸 95年
澤崎俊和 97年

<最多本塁打>
江藤智 93年 34
江藤智 95年 39

<最多打点>
江藤智 95年 106
ロペス 96年 109
ロペス 97年 112

<最多安打>
野村謙二郎 94年 169
野村謙二郎 95年 173
ロペス 97年 170

<最多盗塁>
野村謙二郎 90年 33
野村謙二郎 91年 31
野村謙二郎 94年 37
緒方孝市 95年 47
緒方孝市 96年 50
緒方孝市 97年 49

<最高出塁率>
江藤智 96年 .431

<最優秀防御率>
佐々岡真司 91年 2.44
大野豊 97年 2.85

<最多勝利>
佐々岡真司 91年 17

<最優秀救援(SP)>
大野豊 91年 32

<最多奪三振>
川口和久 91年 230

<沢村賞>
佐々岡真司 91年

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