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よみがえる1990年代のプロ野球

【90's FILE】中日・2位が5回も優勝は99年のみ 強竜打線からドーム型野球へ

 

91年に監督を退任したが、96年から再び指揮を執った星野仙一監督。97年からナゴヤドームとなり、目指す野球も大きく変わった


「国民的行事」に敗戦


【90年代成績】672勝643敗6分勝率.511(リーグ3位)

 10年間で2位5回。V争いに加わりながらも大一番に弱く、優勝を逃すことが多かった90年代だが、最終年には11年ぶりの頂点に立った。

 星野政権4年目の90年はルーキー・与田剛が新人新記録の31セーブ、35SPで最優秀救援投手と新人王を受賞。打線は落合博満が本塁打王と打点王の2冠を獲得したが、先発陣が振るわず星野政権初のBクラスに。91年は積極的な戦力補強を敢行し、V争いに参戦するも終盤の9月に打線が沈黙。2位に終わり、5年間指揮を執った星野仙一監督が辞任した。

 高木守道新監督を迎えた92年は投打ともに故障者続出で12年ぶりの単独最下位。93年は一転、2位へと躍進する。今中慎二山本昌広のW左腕が開幕から絶好調でともに17勝を挙げて最多勝、打線もリーグ最多の158本塁打を放ちながら惜しくもV逸。2本柱に続く投手陣が現れなかった。

 そして、日本中が注目した「世紀の一戦」を戦った94年。大豊泰昭が本塁打、打点の2冠、アロンゾ・パウエルが首位打者と2人で三冠王を獲得。FAで巨人に移籍した落合博満の穴は2人がきっちり埋めた。山本昌が19勝で2年連続最多勝、郭源治は最優秀防御率のタイトルを獲得し、今中を加えた盤石の三本柱を形成。充実の布陣で9月中盤から9連勝を飾って巨人を猛追も史上最高視聴率48.8%を記録した最終決戦「10.8」に敗れて2年連続の2位に終わる。

 95年、前年の勢いは続かず投手陣が崩壊して早々にV戦線から脱落。高木監督がシーズン途中に突然辞意を表明し、徳武定祐コーチ、島野育夫二軍監督が監督代行を務めるドタバタ劇で借金30の5位に沈んだ。

投手陣中心で守り重視


 96年には5年ぶりに星野監督が復帰。野口茂樹門倉健ら若手投手の台頭に強竜打線の爆発で優勝争いを繰り広げるも、最後は巨人との直接対決に敗れてまたも優勝には届かなかった。

 ドーム元年の97年は5年ぶりの最下位転落。狭いナゴヤ球場から広いナゴヤドーム移転の影響は大きかった。本塁打は激減し、チーム打率は12球団ワーストに低迷。ここからドーム型野球へと徐々に転換することになる。

 98年は大豊、矢野輝弘阪神へ放出し久慈照嘉関川浩一を獲得。“韓国のイチロー李鍾範も加入して機動力野球へのシフトに成功、2位に浮上した。逆指名で入団した川上憲伸が最優秀防御率の野口茂樹と並ぶチーム最多の14勝で新人王。中継ぎの落合英二宣銅烈につなぐ勝利の方程式が確立し、チーム防御率は12球団一を誇った。

 迎えた90年代の最終年、待望の瞬間が訪れる。“恐怖の七番打者”井上一樹が開幕21試合連続安打してチームを勢いづけ、4月はプロ野球タイ記録となる開幕11連勝の快進撃。ペナントレースの主導権を握ると、投手を中心とした守り勝つ野球を展開し、11年ぶり5度目の優勝を飾った。優勝の原動力は防御率2年連続1位の投手力。19勝を挙げMVPの野口を中心とした先発陣から、最優秀中継ぎの岩瀬仁紀、落合、サムソン・リーのセットアッパー、抑えの宣につなぐ盤石の継投が冴(さ)えわたった。この後、ドーム型のディフェンス野球が新スタイルに定着していく。

■年度別成績

※ 95 年監督は高木守道、徳武定祐、島野育夫


■90's DRAGONS ベストナイン

■ベストオーダー
△は左打ち

打順/位置/選手名
1(中)△関川浩一
2(遊) 種田仁
3(二)△立浪和義
4(一) 落合博満
5(三) ゴメス
6(左) パウエル
7(右) 山崎武司
8(捕) 中村武志
9(投) ―――

■ベスト投手陣(先発6、中継ぎ3、抑え1)
△は左投げ

選手名/試合/勝利/敗戦/セーブ/防御率
<先発>
△山本昌/265/109/73/3/3.31
△今中慎二/216/90/65/5/3.04
 郭源治/164/35/43/25/3.24
△野口茂樹/126/41/32/2/3.27
 門倉健/89/29/28/0/4.10
 川上憲伸/55/22/15/1/3.51

<中継ぎ>
 落合英二/221/23/34/11/3.60
 鹿島忠/222/18/13/11/3.92
山田喜久夫/217/6/8/0/3.70

<抑え>
 宣銅烈/162/10/4/98/2.70

■タイトルホルダー

<最優秀選手(MVP)>
野口茂樹 99年

<最優秀新人(新人王)>
与田剛 90年
森田幸一 91年
川上憲伸 98年

<首位打者>
パウエル 94年 .324
パウエル 95年 .355
パウエル 96年 .340

<最多本塁打>
落合博満 90年 34
落合博満 91年 37
大豊泰昭 94年 38
山崎武司 96年 39

<最多打点>
落合博満 90年 102
大豊泰昭 94年 107

<最多安打>
パウエル 96年 176

<最高出塁率>
落合博満 90年 .416
落合博満 91年 .473

<最優秀防御率>
山本昌 93年 2.05
郭源治 94年 2.45
野口茂樹 98年 2.34

<最多勝利>
山本昌 93年 17
今中慎二 93年 17
山本昌 94年 19
山本昌 97年 18

<最優秀救援(SP)>
与田剛 90年 35

<最優秀中継ぎ(RP)>
落合英二 98年 19.70
岩瀬仁紀 99年 28.15

<最多奪三振>
今中慎二 93年 247
山本昌 97年 159

<沢村賞>
今中慎二 93年
山本昌 94年

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