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よみがえる1990年代のプロ野球

【90's FILE】オリックス・被災地の人々の思いを胸に新生・オリックスが躍進

 

阪神淡路大震災が発生した1995年にリーグ優勝を果たすと、翌96年も連覇を遂げ、悲願の日本一をつかみ取った


10年間ですべてAクラス入り


【90年代成績】693勝588敗34分勝率.541(リーグ2位)

 阪急からオリックスに球団譲渡して2年目の90年、2年連続2位でシーズンを終えると、10年間指揮を執った上田利治監督が辞任。西宮球場からグリーンスタジアム神戸に本拠地を移転し、チーム名もブルーウェーブに変更された。新生オリックスとなった90年代は、10年間すべてのシーズンでAクラス入りを果たし、95、96年にはリーグ連覇を達成。阪急の黄金時代を彷彿(ほうふつ)とさせる躍進を見せる。

 上田政権を譲り受けた土井正三新監督は、91年〜93年まで3年間チームを率いて3年連続3位。Aクラスは死守したが、優勝争いに加わることはできなかった。91年は長谷川滋利が12勝を挙げ新人王を獲得するも、広いGS神戸への移転で本塁打数は激減。かつてのブルーサンダー打線は影を潜めた。この年の秋のドラフトでは、のちにチームの屋台骨となるイチロー田口壮が入団している。

 92年は後半追い上げるも、4年ぶりの負け越しで勝率5割を切る。93年は阪神から松永浩美とのトレードで移籍してきた野田浩司が17勝で最多勝と奮闘した。

「がんばろうKOBE」で初V


 94年には仰木彬新監督を迎え、チームは生まれ変わる。その象徴が日本球界を代表するスターへと駆け上がったイチローの出現である。日本新記録のシーズン210安打を放ち、パ・リーグ新記録の打率・385をマーク。イチローフィーバーで観客動員も球団新記録を更新、チームも優勝争いに絡み2位へと躍進した。

 盛り上がりを見せていた神戸の街が甚大な阪神淡路大震災の被害を受けたのは95年1月。「がんばろうKOBE」を合言葉に被災地の人々の思いを胸にチーム一丸となって戦い、復興のシンボルとして快進撃を見せる。序盤から独走状態で7月にマジック点灯。オリックスとなって初の優勝を遂げた。イチローが2年連続MVPに首位打者、打点王、盗塁王を獲得。2年目の平井正史がパ新の42SPで新人王に輝いた。野田が1試合19奪三振の日本記録、佐藤義則が当時史上最年長でのノーヒットノーランを達成している。

 96年もチーム力は衰えず前年果たせなかった地元Vを、イチローのサヨナラ二塁打で決めた。サヨナラ勝利での優勝決定はパ・リーグ初のことだった。イチローは3年連続MVPと首位打者に。主砲・ニールが本塁打と打点の2冠獲得。投手陣は星野伸之が10年連続2ケタ勝利となる13勝を挙げた。日本シリーズでは長嶋巨人を下し、球団譲渡後初の日本一を達成。オリックス最強時代の到来を予感させたが、ここから2021年まで優勝から遠ざかることになるとは……。

 97年も快調に前半を首位で折り返すも、後半は勝負どころで粘れず2位に。全球団に勝ち越しながらのV逸は23年ぶりの珍事だった。投手陣の防御率はリーグ1位。イチローは216打席無三振のプロ野球記録を樹立した。

 98、99年は前半の出遅れが響き3位に終わる。それでも11年連続のAクラスを死守。イチローも6年連続首位打者に輝いた。シーズン終了後、投手陣を支え続けた星野がFAで阪神に移籍した。

■年度別成績

■90's BRAVES/BLUEWAVE ベストナイン

■ベストオーダー
△は左打ち、□は両打ち

打順/位置/選手名
1(左) 田口壮
2(二)□大島公一
3(右)△イチロー
4(指)△トロイ・ニール
5(一)△藤井康雄
6(中) 谷佳知
7(三)□松永浩美
8(捕) 中嶋聡
9(遊) 小川博文

■ベスト投手陣(先発6、中継ぎ3、抑え1)
△は左投げ

選手名/試合/勝利/敗戦/セーブ/防御率
<先発>
△星野伸之/252/118/90/1/3.64
 長谷川滋利/142/57/45/4/3.33
 野田浩司/136/54/35/0/3.28
 佐藤義則/151/45/43/11/3.93
 酒井勉/81/24/24/5/3.85
金田政彦/129/25/25/1/4.09

<中継ぎ>
 鈴木平/234/22/15/36/2.77
野村貴仁/235/18/16/34/2.68
 小林宏/172/40/28/19/3.48

<抑え>
 平井正史/153/29/16/34/3.00

■タイトルホルダー

<首位打者>
イチロー 94年 .385
イチロー 95年 .342
イチロー 96年 .356
イチロー 97年 .345
イチロー 98年 .358
イチロー 99年 .343

<最多本塁打>
ニール 96年 32

<最多打点>
石嶺和彦 90年 106
イチロー 95年 80
ニール 96年 111

<最多安打>
イチロー 94年 210
イチロー 95年 179
イチロー 96年 193
イチロー 97年 185
イチロー 98年 181

<最高出塁率>
イチロー 94年 .445
イチロー 95年 .432
イチロー 96年 .422
イチロー 99年 .412

<最多勝利>
野田浩司 93年 17

<最高勝率>
平井正史 95年 .750
星野伸之 96年 .722

<最優秀救援投手>
平井正史 95年 42

<最優秀選手(MVP)>
イチロー 94年
イチロー 95年
イチロー 96年

<最優秀新人(新人王)>
長谷川滋利 91年
平井正史 95年

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