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よみがえる1990年代のプロ野球

【90's FILE】西武・10年間で7度のリーグ優勝、3度の日本一とパをけん引

 

92年、日本シリーズでヤクルトを4勝3敗で下して3年連続日本一となり、ナインの手により胴上げされる森祇晶監督


森政権5連覇達成の最強時代


【90年代成績】742勝537敗36分勝率.580(リーグ1位)

 80年代後半から第二次黄金時代を築いた森祇晶政権下のチームは、90年代にその強さをさらに盤石にした。後半の東尾修監督時代も含め10年間で7度のリーグ優勝、3度の日本一に輝き、残り3年間もAクラスを死守。他を寄せ付けない1強時代と言える。

 90年代前半の森西武は圧倒的な強さを誇った。5連覇を逃しV奪還に燃えた90年は、森監督が「この年が最強」と言うほど投打に盤石の戦いで球団史上最速の独走優勝。2冠のデストラーデ清原和博秋山幸二の脅威のクリーンアップが計114本塁打を放てば、潮崎哲也鹿取義隆のWストッパーが優勝の原動力となった。巨人に4連勝して日本一も奪還。ここから最強時代が幕を開ける。

 91年は序盤から独走態勢も、終盤に近鉄の猛追でデッドヒートに。戦列を離れていた主力が戻り連覇を達成した。デストラーデは2年連続で本塁打と打点の2冠、最優秀防御率の渡辺智男、MVPの郭泰源ら先発陣も好投した。

 92年は渡辺久信工藤公康、郭、石井丈裕の先発4本柱が10勝以上と安定し、石井はMVPと沢村賞を受賞。ヤクルトとの日本シリーズを制して3年連続日本一と王者の貫録を見せつけた。4年間で3度の本塁打王に輝いたデストラーデがメジャー復帰で退団。主砲の穴をどう埋めるかが93年のポイントだったが、首位打者・辻発彦石毛宏典が打線をけん引し、投手陣は工藤がMVPの活躍で4連覇を遂げる。日本一を逃したオフ、黄金時代の象徴であった秋山、渡辺智、内山智之のダイエーへの大型トレードに衝撃が走った。

 森監督9年目の94年、パ初のリーグ5連覇で有終の美。就任9年間で8度の優勝、6度の日本一を遂げた名将の第二次黄金期時代は終焉(しゅうえん)を迎えた。

機動力野球全開の新生レオ


 東尾監督の就任で新たな時代が幕を開けた95年、前年オフの工藤、石毛のFA移籍により世代交代の時期に突入。松井稼頭央を遊撃に抜てきするなど若手主体へ舵を切るも、快進撃のオリックスに5勝21敗と大敗して3位に。翌96年も連続3位。16年ぶりの負け越しに終わったが、高木大成大友進ら若手が台頭し、オフには清原がFA移籍するなど、転換期を迎える。

 若い力が躍動した新生・西武は機動力野球へのシフトチェンジに成功し、97年、3年ぶりのリーグ制覇を果たす。チーム本塁打はリーグ5位も打率、得点、盗塁はトップ。62盗塁で盗塁王に輝いた松井を筆頭にチーム200盗塁は12球団断トツだった。投手陣は西口文也が投手タイトル総ナメでMVP獲得。先発復帰の潮崎、豊田清石井貴も2ケタ勝利を挙げた。翌98年は誤算続きで苦戦するも粘りの野球でリーグ史上最低勝率.534での大逆転V。松井がMVP、小関竜也が新人王に輝いた。

 90年代最終年には平成の怪物・松坂大輔が入団。16勝を挙げ高卒新人としては45年ぶりに最多勝のタイトルを獲得し新人王受賞、衝撃デビューを果たした。松坂を軸に投手陣は強力だったが、ドミンゴ・マルティネスの抜けた打線は大砲不在で2位に終わり3連覇を逃した。前半と後半で野球スタイルが180度転換した90年代、球団史上最強の時代であったことは揺るぎない。

■年度別成績

■90's LIONS ベストナイン

■ベストオーダー
△は左打ち、□は両打ち

打順/位置/選手名
1(遊)□松井稼頭央
2(右)□平野謙
3(中) 秋山幸二
4(一) 清原和博
5(指)□デストラーデ
6(左)△佐々木誠
7(三)△鈴木健
8(捕) 伊東勤
9(二) 辻発彦

■ベスト投手陣(先発6、中継ぎ3、抑え1)
△は左投げ

選手名/試合/勝利/敗戦/セーブ/防御率
<先発>
 郭泰源/151/67/39/1/3.39
 渡辺久信/186/64/69/6/3.98
△工藤公康/111/62/20/0/2.97
 石井丈裕/173/62/42/7/3.03
 西口文也/134/60/37/6/3.19
 新谷博/193/51/44/14/3.51

<中継ぎ>
橋本武広/324/7/8/19/2.56
 潮崎哲也/400/70/41/55/2.95
杉山賢人/258/15/7/17/3.42

<抑え>
 鹿取義隆/289/46/17/73/2.62

■タイトルホルダー

<首位打者>
辻発彦 93年 .319

<最多本塁打>
デストラーデ 90年 42
デストラーデ 91年 39
デストラーデ 92年 41

<最多打点>
デストラーデ 90年 106
デストラーデ 91年 92

<最多安打>
松井稼頭央 99年 178

<最高出塁率>
清原和博 90年 .454
清原和博 92年 .401
辻発彦 93年 .395
鈴木健 97年 .431

<最多盗塁>
秋山幸二 90年 51
佐々木誠 94年 37
松井稼頭央 97年 62
松井稼頭央 98年 43
松井稼頭央 99年 32

<最優秀防御率>
渡辺智男 91年 2.35
工藤公康 93年 2.06
新谷博 94年 2.91

<最多勝利>
渡辺久信 90年 18
西口文也 97年 15
西口文也 98年 13
松坂大輔 99年 16

<最高勝率>
工藤公康 91年 .842
石井丈裕 92年 .833
工藤公康 93年 .833
郭泰源 94年 .722
西口文也 97年 .750

<最優秀救援(SP)>
鹿取義隆 90年 27

<最多ホールド>
橋本武広 97年 25

<最多奪三振>
西口文也 97年 192
西口文也 98年 148

<最優秀選手(MVP)>
郭泰源 91年
石井丈裕 92年
工藤公康 93年
西口文也 97年
松井稼頭央 98年

<最優秀新人(新人王)>
杉山賢人 93年
小関竜也 98年
松坂大輔 99年

<沢村賞>
西口文也 97年

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