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よみがえる1990年代のプロ野球

【90's FILE】日本ハム・投手陣そろうも打線が不安定 2位が3度も激しい浮き沈み

 

90年代後半は、阪急で黄金時代を築いた上田利治監督が指揮を執った。2位に2度食い込むも優勝には届かず[写真右は西崎幸広]


大沢親分2位躍進から土下座辞任


【90年代成績】607勝674敗34分勝率.474(リーグ4位)

 東京ドームを本拠地とした1990年代は、4人の監督が指揮を執り3度2位に食い込むも優勝はできず、残りの7年間はBクラスに低迷した。

 近藤貞雄監督2年目の90年と翌91年は連続4位に終わっている。90年はノーヒットノーランを達成した柴田保光をはじめ、西崎幸広、松浦宏明酒井光次郎、抑えの武田一浩と球団史上初の2ケタ勝利投手を5人も輩出。一方の打線は、大島康徳が2000本安打を放つも迫力不足だった。91年は武田が最優秀救援投手を獲得したが、貧打は解消されなかった。

 近藤監督の後任には土橋正幸監督が73年以来の復帰。92年は広島から移籍した金石昭人が14勝を挙げ、ルーキー・片岡篤史も活躍したが5位に終わり、土橋監督はわずか1年で辞任した。

 9年ぶりに大沢啓二監督が就任した93年は2位に躍進。ユニフォームもインパクトのあるオレンジ色からタテジマに一新された。夏場には首位・西武を猛追して優勝戦線に食い込み、リーグを大いに盛り上げた。ウインタースリック・シューの両外国人のパワフルな打棒で貧打を解消できたことが大きい。

 しかし、この快進撃の翌年には悪夢が訪れる。借金33、チーム防御率、チーム打率ともにリーグ最低で84年以来10年ぶりの最下位に沈んだ。ユーモアあふれる大沢節でも話題を振りまいた大沢監督は東京ドームでファンに土下座謝罪して辞任。代打の切り札・大島が現役を引退した。

上田政権下で2度の2位に


 90年代後半は上田利治政権下で2度2位に食い込んだ。95年の主役はパ・リーグ初の外国人投手最多勝を獲得した投手陣の柱キップ・グロス。31試合に先発し15完投と圧巻のフル回転だった。「闘魂ハチマキ」でも話題に。翌96年は34年ぶりに前半を首位で折り返し、優勝も見えたかと思われたが、9月初めに上田監督が家庭の事情で休養すると失速してV逸。西崎、今関勝、グロスの先発ローテーションは安定感抜群で、初代最多ホールド・島崎毅、抑えの金石への勝利の方程式も盤石だった。グロスが2年連続最多勝、金子誠が新人王に輝いている。外国人投手の2年連続最多勝は2リーグ制となって初の快挙だった。

グロス


 97年は打戦強化へ、落合博満ジェリー・ブルックスナイジェル・ウィルソンを獲得したが、4位に転落。10年間で最高のチーム打率.265、本塁打128本はリーグ2位も防御率は4.18と自慢の投手陣崩壊が低迷の原因に。シーズン終了後、西崎、長冨浩志、金石が移籍した。

 90年代後半を盛り上げた投手と言えば「まいど!」でおなじみのガンちゃんこと岩本勉。98年には球団史上初の開幕投手完封勝利を収めた。その後も猛打で快勝し前半戦を首位独走。躍進の原動力は一番・田中幸雄、片岡、ブルックス、ウィルソン、西浦克拓を軸とした「ビッグバン打線」だった。しかし、この年も後半に打線の急落で大失速し、またも優勝を逃す。シーズン終了後、落合が現役に別れを告げた。

 ダイエーから96年に移籍した左腕・下柳剛が、97年から3年連続60登板超え。優勝を期待されながらも99年は5位に沈み、上田監督は勇退。大島監督が就任した。

■年度別成績

■90's FIGHTERS ベストナイン

■ベストオーダー
△は左打ち、□は両打ち

打順/位置/選手名
1(二)□白井一幸
2(三)△片岡篤史
3(左)△ウインタース
4(指)△ウィルソン
5(一) 大島康徳
6(遊) 田中幸雄
7(中) 井出竜也
8(捕) 田村藤夫
9(右)△上田佳範

■ベスト投手陣(先発6、中継ぎ3、抑え1)
△は左投げ

選手名/試合/勝利/敗戦/セーブ/防御率
<先発>
 西崎幸広/177/71/70/2/3.40
 グロス/124/55/49/0/3.60
 金村曉/54/12/13/2/3.03
 岩本勉/151/46/43/3/3.94
 武田一浩/147/33/39/31/3.93
 柴田保光/101/34/42/0/3.05

<中継ぎ>
 島崎毅/192/20/19/28/3.08
△下柳剛/216/13/13/13/3.44
河野博文/134/25/28/0/4.19

<抑え>
 鹿取義隆/289/46/17/73/2.62

■タイトルホルダー

<最多本塁打>
ウィルソン 97年 37
ウィルソン 98年 33

<最多打点>
田中幸雄 95年 80
ウィルソン 98年 124

<最高出塁率>
白井一幸 91年 .428
片岡篤史 98年 .435

<最優秀防御率>
金村曉 98年 2.73

<最多勝利>
グロス 95年 16
グロス 96年 17

<最優秀救援(SP)>
武田一浩 91年 22

<最多ホールド>
島崎毅 96年 16

<最優秀新人(新人王)>
金子誠 96年

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