2014年の社会人ベストナインは10人全員(DH含む)が初受賞だったが、唯一のルーキーが大型三塁手だった。昨年入社の新人は不動の四番で、都市対抗初制覇に貢献。1年目の活躍がフロックとは言わせないためにも、ドラフトが解禁となる大卒2年目も結果にこだわり続けていく。 取材・文=岡本朋祐 写真=BBM ▲昨年12月の社会人ベストナイン表彰で、三塁手部門の栄冠に輝いた伊藤。「今年もあの場に立つ」と、チームの都市対抗連覇へ全力を注ぐ
大ブレークのきっかけは逆転勝利の“口火打”
大学時代のプレーを最も身近で見てきた人にとって、西濃運輸・
伊藤匠の社会人1年目の活躍は驚きだったという。岐阜経済大が加盟する、東海地区大学リーグの関係者は明かす。
「
広島の菊池(涼介、中京学院大)、野間(峻祥、中部学院大-15年ドラフト1位)にしても、大学在学中はOPS(出塁率と長打率を足した数値)が10割を超えていたんです。対する伊藤君は8割台。正直、社会人でも入社当初は苦労するのではないかと思っていたんですが……」
ただ、一方で飛躍を予感させる数字もあった。前出の関係者は続ける。
「好打者の条件とも言われますが、三振をしないんです。岐阜県リーグでも40打席に1個の計算。卓越したミート力は当時から抜けていた」
伊藤は高校、大学を通じて全国舞台の経験がない。「大学に入学したときは、社会人野球すら考えられなかった」と当時を振り返る。三重・海星高、岐阜経済大の監督とも西濃運輸野球部OBという縁で同社への入社が決まった。合流当初は「同じ練習でも内容の濃さがまったく違う」と戸惑いの連続であったが、歯を食いしばってついていった。ちょうど、前年まで三塁を守っていた
藤澤拓斗(
中日)がプロ入りとタイミングが良かった。ホットコーナーの後継者を探している中、バットが振れ、しかも、対応力の高い伊藤が林教雄監督の目に留まった。合流直後のオープン戦初戦から主砲の座を任され、シーズンを通して「四番・三塁」が伊藤の定位置となった。実戦でも即結果を残したものの・・・
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