東海大相模高が誇る2人のドラフト候補、小笠原慎之介と吉田凌。プロ注目の逸材が集大成となる夏へ向けて牙を研ぎ、熱き闘志を燃やしている。見据えるのは日本一の栄冠。お互いを高め合う存在として、切磋琢磨してきたSAGAMIの2枚看板の現在地に迫った。 文=今村成一 写真=BBM 
東海大相模高が誇る小笠原[左]と吉田。2人とも今秋のドラフトで上位指名が有力視される
東海大相模高の2015年の“練習開き”は1月5日だった。強調するわけではないが、お屠蘇気分も抜けない正月の5日である。
全国の高校野球強豪チームのスタートは前後はしても大差はない。その神奈川県相模原市の同校グラウンドに、
阪神と福岡
ソフトバンク2球団のスカウトが姿を現した。大物選手のいるチームへの恒例行事とも言える“ご挨拶”ということで、スカウトにとっては、単なる仕事の一環。2球団というのが多かったのか少なかったのかは別に、すでに顔なじみのスカウトとの対面に、門馬敬治監督は自然体で丁重に応対した。
実はスカウトの誰が来たのかは重要視される。その球団が、選手にどの程度のウエートを置いているかのバロメータにされる場合もある。だが、誰が、いつ来ても、ドラフトとは結局クジ引きになるのだから現実には大した意味はない。球団側としては誠意を表す、いわば初詣のようなものと思っていい。日本のプロ球界の不思議な慣例ではある。そんな大物選手とは、全国屈指の左腕と評価が高い小笠原慎之介と本格右腕の吉田凌の両投手だ。
小笠原は神奈川県藤沢市の善行中学時代に大きな勲章を手にした。所属した地元・湘南ボーイズでジャイアンツカップに優勝、一躍スターダムにのし上がってU-15の代表メンバーにも選出された。湘南ボーイズは東海大相模高-東海大と門馬監督同様に直系の東海大ラインを歩む田代栄次監督が、例年優れた選手を輩出している。
小笠原は昨夏の県大会準決勝の横浜戦では146キロの速球に加えて極端にスピードを変化させたカーブとツーシーム、チェンジアップを自在に操る内容。しなやかな腕の振りから両サイドへ微妙に投げ分け、特に高低の内角いっぱいを突けるコントロールとマウンド度胸が光る投手。横浜戦の二死満塁のピンチを抑えたピッチングに小笠原の魅力が詰まっていた。
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今春は背番号1を背負っている小笠原。順調な調整で最後の夏へ歩みを進めている
元々ワインドアップからのバランスのよい“立ち姿”に、早くから注目していた球団は多かった。1年の春に、いきなり141キロでデビューしたが、強豪校にありがちな・・・
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