高卒3年目の大谷翔平が自身初の投手タイトルを手にする目前だ。勝利数、防御率、勝率の部門はほぼ手中に収めている状況である。二刀流を続けながら、いかにこの圧倒的な成績を残したのか。過去の4冠達成投手の成績と併せて紹介する。 文=高橋和詩、写真=高原由佳 最大のポイントは投球術の幅の広がり
驚異の成長曲線とポテンシャルを数字で証明した。大谷翔平が3年目で、一つのステージへとたどり着いた。9月27日
オリックス戦(京セラドーム)で8回3安打無失点で15勝目。シーズン最佳境でライバルを2勝差へ突き放し、最多勝のタイトルを確定させた。防御率も2.24に下げ、勝率も.750。“投手3冠”を手にすることを確実にする快投だった。「記録は後からついてくるもの」。浮き足立つことなくサラリと流したが、自身の付加価値の高さを実感する節目になった。
初めて開幕投手を任された今季は、一気に芽を伸ばした。1年目は3勝で、昨季は11勝。現在も投打の「二刀流」に挑戦しているが、花巻東高時代に完成度が低いとされていたのが投手としての実力だった。プロ入りしてから比重を置いて磨き、
栗山英樹監督ら現場を含めた球団が主眼を置いてきたのが、投手としての大谷。日本人最速162キロをマークしているようにスピードにスポットライトが当たりがちだが、双方で取り組んできたのが、洗練されたスタイル、技術の構築。総合力アップへと取り組んできた。
変化をした最大のポイントは、投球術の幅が増えたという点だ。大谷はこう表現する。「最低限のラインが上がっている」。昨季までは勝負球などで速球頼みだったが、手数が増えた。一番顕著なのがフォークの完全習得。今季は序盤戦から有効な決め球とし、時にカウントを整える球種としても活用した。各球団の相手打者は、特長である直球狙いが、大谷を攻略するための基本プランになる。それを逆に打ち取るために活用する手段が、フォークを含めた変化球の精度を高めることだった。
着実に身につけた自身の特徴を生かす術
右腕の振りが直球時と近く、打者にとって見極めが困難なフォーク。多投することが多くなり、相手球団に研究されると・・・
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