2015年シーズンの熱気も冷めやらぬ中、すでに各チームは2016年に向けて歩みを進めている。来季からは5球団が新監督の下で再出発し、フレッシュな顔ぶれが球界にまた新たな風を吹き込んでくれそうだ。ここでは5人の新指揮官たちにスポットを当て、各チームの秋季キャンプの模様をお届け。まずは電撃的に巨人の第18代目指揮官に就任した高橋由伸監督から。現役への未練を捨て、並々ならぬ覚悟を胸に走り始めた40歳の青年指揮官はいま何を思うのか。その挑戦の船出を追った。 写真=荒川ユウジ 高橋由伸新監督が掲げるチーム構想
・個々のレベルアップ
・課題である攻撃力の改善
・新戦力の発掘&育成
迷いを振り切って、決意を胸に再出発
最高気温24度の陽気だった。11月7日、自身にとっては久しぶりに迎えた秋の宮崎キャンプ。シーズン終了以来、初めて見せた背番号の「24」以外は、何もかもが様変わりしていた。巨人の第18代目監督という肩書、取り巻く環境、与えられた使命……。練習前には木の花ドームからメーン球場のサンマリン宮崎まで散歩した。「トータルで考えると不安だらけ。でも、今日については楽しみですね」。40歳の高橋由伸新監督が、本格的に船出した。
宮崎入りした前日6日のミーティングでの訓示に、指揮官の決意も盛り込まれていた。
「これまでジャイアンツ球場でやってきたもの(秋季練習)と、大きく内容も目的も変わらない。個々のレベルアップが目的です。基本の繰り返しで少しキツイ内容になるかもしれませんが、自分のためだと思うので頑張ってください。一軍を経験した人も経験していない人もいますが、しっかり見るつもりでいますので、自分がレギュラーを獲るんだという強い気持ちで臨んでほしい」
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秋季キャンプ初日から精力的に動きまわった新指揮官。至上命題のV奪回へ向けて青年指揮官の挑戦の日々が始まった
個の強化の重要性は、就任直後から強調し続けてきた。その狙いは初日のメニューにも随所に現れていた。チームとしてこれまで、グラウンドでの全体練習の後に行うことが多かったウエート・トレーニングやランニングメニューを打撃、守備の技術練習よりも先に導入。「技術的な練習を、余力を残さずにやってほしい」という考えからだった。
巨人にとって最大の課題は、今季リーグ最低のチーム打率.243に低迷した攻撃力の改善だ。高橋新監督は10月28日から11月5日までの2クール、川崎市のジャイアンツ球場で行われた秋季練習を視察。この間は「今はコーチたちがアイデアを出しながらやっていますから、それを見ながら」と、自ら指導を行わず、観察に徹していた。しかし、キャンプインと同時に変化が出てきた。
最初の変化は、自身のアイデアで2つの“秘密兵器”を今キャンプから導入したこと。1つは約2メートルの素振り用の長い棒だ。指揮官は幼少時代に父・重衛さんとの練習で、ほぼ同じ長さの青竹を素振りさせられていたことが背景にある。
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自身のアイデアで約2メートルの素振り用の長い棒を使っての練習風景。高橋監督自身も幼少時代に同じように青竹を振って技術を磨いてきた
もう1つは球速と球種で合計15種類のバリエーションがある、バーチャル動画付きのピッチングマシン・・・
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