今オフにポスティングによるメジャーへの移籍がささやかれている前田健太と、海外FA権を行使して海外挑戦を表明した松田宣浩。プレミア12を経て、メジャー市場の二人への評価はどう変化したのだろうか。先日、GM会議を終えた現在の状況をリポートする。 文=奥田秀樹、写真=Getty Images 
ポスティングでのメジャー移籍が囁かれる前田健太
新ポスティング制を利用するメリット
現地時間11月9日から12日に行われたGM会議。この間、大きなニュースはツインズが、ポスティングでKBO(韓国リーグ)の大砲、朴炳鎬(パク・ビョンホ)の独占交渉権を獲得したことだった。ポスティングフィーは1285万ドル。昨年、パイレーツは姜正浩(カン・ジョンホ)の交渉権に500万ドルを払ったが、額は2.5倍に跳ね上がった。他2球団も1100万ドル前後を提示したと言われる。
韓国プロ野球の球場は狭く、打者有利で、投手の真っすぐも速くない。パイレーツが姜と4年1100万ドルで合意したとき、疑問符をつけるメジャー関係者が多かった。それが今季打率.287、15本塁打、58打点の活躍。守備も堅実で、チームのプレーオフ進出に大きく貢献した。MLB球団の韓国人野手を見る目が一変し、朴だけでなく、
李大浩(イ・デホ)、孫児葉(ソン・アソプ)らの名も上がっていた。
そんな中、近年の日本人先発投手への評価は安定、高止まりしている。
ダルビッシュ有はレンジャーズのエース、
田中将大もヤンキースのエース、
岩隈久志はこのオフのFAの目玉だ。打者有利と言われるア・リーグで投げながら、防御率はそろって3点台前半、3人合わせて111勝62敗である。
そのため日本球界で97勝67敗、防御率2.39、200投球回数を4度もクリアした
広島の前田健太の評価は高く、ダイヤモンドバックスのデイブ・
スチュワートGMは「マエダのことはずっと見続けている」と1年前から明言している。それだけではなく他球団も複数のスカウトを送っている。評価は先発3番手が一番多い。5年契約で、年俸は1000万ドル~1500万ドルの評価のようだ。
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ダイヤモンドバックスのデリック・ホール球団社長[左]は前田健太の獲得に意欲を示している
広島との話し合いで移籍が許可された場合、前田にとって有利なことは、新しいポスティング制度の恩恵を受けることができる点で、田中と同様に獲得を望む複数球団と同時に交渉できる。球団の方針、キャンプのトレーニング環境、シーズン中の移動、バックアップ体制などを比較でき、西海岸、東海岸など、生活環境も選べる。契約の金額や年数も大事だが、メジャーに挑戦する上で、最適な環境を絞り込むことが成功へのカギになる。
黒田博樹がFAで来たとき、マリナーズやロイヤルズなど、複数の選択肢の中から最適と考えられたドジャースを選べた。このプロセスが彼の成功に影響した。前田もその選択ができることは大きい。
対照的に野手はここ数年の日本人野手の不振で株が下がった。パドレスが獲得に動くと一部で報道された
ソフトバンクの三塁手・松田宣浩。パドレスのA.J.プレラーGMはスカウトを送ったことを認めたものの・・・
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