209万1983人――。厚生労働省の人口動態統計の概況によると、1971年から74年生まれを指す「第二次ベビーブーム」の中でも73年の出生数が最も多い。Jリーグがスタートしたのは93年と、彼らが二十歳になる年だから、幼いころからほとんどの子どもが野球に親しんできた。プロ野球選手への道も競争率が高く、だからこそ
イチロー(マーリンズ)をはじめとした名選手を、この世代は数多く輩出してきたというのは言い過ぎだろうか。
さらに、かつて
三浦大輔(
DeNA)は「今と昔を比較すると練習量が違う。入団当時はまず投げろ、体で覚えろという感じで。ただ、それで体に染みついた部分も今になって生きている」と語っていたが、そういった時に理不尽な練習を潜り抜けてきたことも芯の強さの礎となっているのかもしれない。
今年で43歳となる73年世代。メジャー通算3000安打を目指すイチローのほかに通算172勝右腕の三浦、そして所属先を模索している平成唯一の三冠王・
松中信彦(前
ソフトバンク)とユニフォームを着る選手はさすがに少なくなってきたが、現役を終えた選手の雄姿もありありと目に浮かんでくる。
投手ではメジャーでも活躍した
石井一久(元
ヤクルトほか)、魂のエースと呼ばれた
黒木知宏(元
ロッテ)、韓国も含めれば6球団でマウンドに立った
門倉健(元
中日ほか)、YFKの一員としてロッテを日本一に導いた
薮田安彦、162キロ男の
クルーン(元
巨人ほか)と多士済々だ。
野手も魅力的な選手が顔をそろえる。フルスイングで投手を粉砕した
小笠原道大(元中日ほか)、通算404本塁打を放った
中村紀洋(元近鉄ほか)、鋭いスイングで安打を量産した
清水隆行(元巨人ほか)、振り子打法が特徴的だった
坪井智哉(元
日本ハムほか)、華麗な守備と盗塁で見る者を魅了した
小坂誠(元ロッテほか)。まさに一時代を築いた選手ばかりだ。
この73年はプロ野球界にとって1つのターニングポイントとなったシーズンだった。巨人が前人未到の9連覇を達成。だが、リーグ優勝を決めたのはシーズン最終戦、さらに
長嶋茂雄の衰えも顕著で、圧倒的な強さを誇っていたわけではなかった。
生まれた年のデータ ■優勝チーム/セ=巨人、パ=南海、日本一=巨人
■甲子園優勝/春=横浜高[神奈川]、夏=
広島商高[広島]
■同学年の他競技アスリート/前園真聖、小倉隆史(サッカー)、TAKAみちのく(プロレスラー)、森且行(オートレース)、清水宏保(スケート)
■主な出来事/巨人V9達成、オイルショック、コインロッカーベイビー、日航機ハイジャック
■流行語/うちのカミさんがね、省エネ
ベストオーダー 1(右)イチロー
2(左)清水隆行
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