球界を揺るがす巨人の野球賭博問題が表面化した後、初めて行われたオーナー会議。当然、その問題についても活発に議論が交わされ、あらためて球界が一致結束して再発防止に全力を傾けることが確認された。その他、同会議での決定事項などをリポートする。 宮内オーナーは「情けない」と憤り
11月18日、プロ野球12球団のオーナー会議と定時社員総会が東京都内で開かれた。巨人の
福田聡志、
笠原将生、
松本竜也の3投手が野球賭博に関与して熊崎勝彦コミッショナーから無期失格処分を受け、巨人も制裁金1000万円を科されてから初めての開催。会議では熊崎コミッショナーとNPBの調査委員会で委員長を務める大鶴基成弁護士からあらためて経緯が説明された後、巨人の白石興二郎オーナーが謝罪した。
経緯の報告後、白石オーナーは手を上げ「オーナーの皆様方、各球団、NPBにご迷惑をお掛けしたことについて、心よりおわび申し上げます。当球団としても、規律委員会等を設立し、選手にきちんとした倫理、モラルの確立を図るべく、指導、監督を徹底させるつもりです」と述べたという。熊崎コミッショナーは「各球団は対岸の火事とせず、当事者意識を持って、球界全体が一致結束して、再発防止に全力を挙げてほしい。効果的な実施策の策定を速やかにやってほしい」と強調。オーナー会議議長の
西武の後藤高志オーナーは「プロ野球界の大変な危機、12球団が一致団結して危機を乗り越える。そのために再発防止策をオーナー会議でも全員でやっていく」と厳しい表情で語った。
まさに日本野球機構(NPB)を揺るがす問題だけに、会議のほとんどの時間が情報共有や再発防止策の話に割かれたという。
オリックスの宮内義彦オーナーは「情けない。なんでそんなことをするのか。徹底して教育する。それをするのも情けないが、念入りにやらないといけない」と憤りを口にした。
DeNAの南場智子オーナーは「子どもたちに夢を与える立場にある選手としてあってはならない。しっかりと再発防止に努める」と語り、
日本ハムの大社啓二オーナー代行は「これがダメだとルールづくりをするよりも、より教育に力を入れる。もっと丁寧にくどくやっていくことが大事」と方針を示した。

オーナー会議で賭博問題の謝罪を行った巨人・白石オーナー[写真=内田孝治]
熊崎コミッショナーの任期延長を承認
会議では就任時に今年末までだった熊崎コミッショナーの任期を来年11月まで延長することが正式に承認された。9月の同会議でNPBの定款と野球協約が改定され、コミッショナーが兼務しているNPB会長と任期を合わせることを決めており、あらためて12球団のオーナーが熊崎コミッショナーに正式要請し、了承を得た。
コミッショナーとNPB会長の任期は2年。コミッショナーは就任した日が起算日で、会長は11月の社員総会が起算日となるために、ずれが出ていた。9月の改定でコミッショナーの任期を会長の任期に合わせたため、熊崎コミッショナーの任期は来年11月に自動的に延長されていた。結果的に、顧問としてのNPB入りから暴力団排除とコンプライアンス(法令順守)の推進をしてきた熊崎コミッショナーが継続して再発防止策の徹底を図ることになり、その手腕が期待される。
コミッショナー選考委員会の新設も決まった。加藤良三前コミッショナーの再任や辞任時に後任の選考が難航したことから、早期に選定し、空位を避けるのが狙いで、巨人、
阪神、西武、オリックスのオーナーが委員となる。来年のオーナー会議の議長は巨人の白石オーナーが務め、コミッショナーと12球団のオーナーが野球振興などを話し合うオーナー懇話会も初会合が来年1月25日に行われることになり、一層の活発な議論が期待される。