灼熱の太陽が照りつける季節になると、聖地での戦いを思い出す。高卒3年目の
田村龍弘は、まぎれもない「甲子園のスター」だ。
同学年の「投のスター」が
日本ハム・大谷、
阪神・藤浪ならば、田村は「打のスター」。光星学院の甲子園3季連続準優勝の立役者として野球ファンから注目を集める存在だった。
現在では、
ロッテのレギュラー捕手としてチームを支えている。
「高校時代は僕もすごかったんですよ。大谷からも藤浪からも打ったし。それなのに、今じゃ2人の方がすごい存在になってしまいましたね」
田村はよくこんなことを冗談交じりに口にする。確かに、大谷も藤浪もそれぞれのチームのエース格の座に君臨している。だが、田村も3年目にしてレギュラー捕手の座をつかんだ。プロの世界に正捕手は各チームに1人ずつ。決して大谷や藤浪に引けを取らない飛躍を遂げている。
後半戦のロッテは好調だ。7月24日の
楽天戦(コボスタ宮城)から7連勝を飾り、3位に浮上した。この連勝期間中はすべて先発投手に白星がついており、田村の好リードが投手陣の好投を引き出した。バッテリーに対してはいつも辛口な伊東監督も「田村がよくリードしてくれている」と評価。さらに、7月29日の
西武戦(QVCマリン)では自身初となる満塁弾も放ち、攻守でチームに貢献している。
絶対的正捕手だった
里崎智也(現球団SA)が昨季限りで引退した。正捕手の育成は球団にとっても急務となっている。若い捕手たちが繰り広げる「ポスト里崎」をめぐる争いは、間違いなく田村が大きくリードしている。