ソチ五輪会場の安全が問題になっているが、プロ野球の球場は大丈夫だろうか?昔の球場は、いま思えばヒヤヒヤものだった。 
文・大内隆雄
数年前、NHKアナウンサーの松本一路さんに「六大学野球の面白話をしてほしい」と頼まれ、ラジオ深夜便に出演したことがあった。久しぶりに東京・代々木のNHKを訪れたのだが、松本さんが「いま、テレビのスタジオはすべて地下にあります」と言ったのに驚いた。一朝事あるときは、簡単に占拠されたりしないようにという危機管理なのだ。地上部分が破壊されても、地下なら放送を続けられる、というワケだ。
ソチ冬季五輪会場の安全が問題になっているが、我らが野球場は大丈夫なのだろうか。テロの標的にはならなくても、地震、火災などへの備えは万全なのだろうか。いまはどの球場も禁煙だし、ドーム球場では観客の持ち物チェックも行っているが、昔はかなりいい加減なものだった。スタンドでタバコは吸い放題。火のついたままイスの下へポイというのも目立った。イニングの合間には、一斉に煙が立ちのぼるのが照明によって映し出される――。これが野球場の光景だった。記者席も吸い放題で、ラーメンをズルズルすすりながら、片手には吸いさしのタバコ。いま思うと、自分も含め公徳心ゼロの記者たちだった。
こんな案配だから
中日球場がファンの焚き火が元で全焼、死者3人、負傷者400人を出す惨事に見舞われてしまうのだ(51年8月19日)。そもそも木造スタンドで焚き火をするという発想がどうかしているとしか思えない。だから、昨年の日本シリーズで
楽天が、にわか造りの組み立て式スタンドを使用したときは、本気で心配したものだった。幸い事故はなかったのでホッとした。
写真は80年の
広島市民球場。上方が記者席だが、入り口には、
大勢の記者が入ると危険という注意書があったのを覚えている。細い鉄柱数本で支えられているだけで、かなり揺れたものだ。こちらも球場閉鎖まで何事もなくてよかった。