
DeNA・中畑監督は、選手を乗せやすい状況をトコトン利用してVを目指してほしい/写真=大賀章好
読売新聞の「編集手帳」にチャップリンの名言が載っていたので(5月19日付)、映画に夢中になっていた70年代を思い出した(手帳氏の「喜劇王チャップリン」というのは、あまりに紋切型でいただけない。チャップリンは、そんな形容におさまる人間ではない。筆者は彼を好きではなかったが……。こっちは断然キートン派である)。
チャップリンの名言とは、編集手帳から引用すればこうなる。
「チャップリンには、自身の最高傑作を問われて『ネクスト・ワン』(次の作品だ)と答えたという出典不明の名言が伝わっている」
これに関連して思い出したのが、ヌーベルバーグの巨匠(これもひどい紋切型だが、仕方ない)フランソワ・トリュフォーの次の言葉だった。
「撮影に入る前は、いつも『今度こそ傑作を撮るぞ!』と意気込むのだが、仕事が始まってしまうと『とにかく完成してくれ』と願うだけになる」
まあ、映画製作とは大集団を束ねての粘り強い作業なのだから、トリュフォーの気持ちは痛いほどよく分かる。と同時にチャップリンの「ネクスト・ワン」もよ~く分かるのである。この性懲りのなさ(?)がなければ、映画を作る力なんて、とても湧いてくるものではないだろう。
トリュフォー監督に『アメリカの夜』という作品があるが(日本公開74年)、アメリカの夜とは、一種のギョーカイ用語で、ハリウッド映画の世界では、カメラのレンズにフィルターをかけて、昼間でも夜のシーンにしてしまうことを言う。筆者は、これを知って、「なんでもアリの映画業界で生き抜くのは大変なんだろうなあ」と思ったことだった。
「監督」と呼ばれる人が一番エライ職業として日本で一番有名なのは、もちろんプロ野球の監督。先週号はDeNAの大特集だったが、
中畑清監督は、3年間・・・
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