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第48回 球界再編から10年(1)――大きく様変わりした球界の力関係

 

 プロ野球は再編から今年で10年が経過した。経営難による近鉄の消滅を発端に、新球団の楽天が半世紀ぶりに新規参入。パ・リーグ球団を中心にフランチャイズの意識が定着するなど、再編前とは状況が違ってきた。日本野球機構(NPB)は節目のときに、11月に日本代表「侍ジャパン」を柱とした「株式会社NPBエンタープライズ」を設立するなど、「次の10年」(熊崎勝彦コミッショナー)を見据えた新基軸を打ち出している。

 労組日本プロ野球選手会(嶋基宏会長=楽天)は9月18日、球界再編騒動をめぐる「ストライキ決行から10年」に関する談話を公式ホームページなどで発表した。スト当時大学生だったという嶋会長は「先輩たちが、未来に何を託したかったのかという想いを忘れずにいることが責任」とコメント。近鉄消滅による球団減という経営者の“縮小均衡論”に徹底抗戦し、現在のセ、パ2リーグ12球団制を維持する原動力となった誇りをにじませた。

「たかが選手」――。以前、ある球団トップの言葉が象徴した球界の力関係は、今や大きく様変わりしている。東日本大震災を受けての開幕日程問題をはじめ、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の不参加問題、新ポスティング問題など、選手会が大きく影響力を行使。経営者側をして「パートナー」と言わしめるなど、再編以降の選手会は無視できないだけの存在感を構築してきた。

 かつて「2分の1リーグ」と揶揄されたパが、地域密着の成功を背景に発言力が増してきたのも、球界のここ10年の特徴だ。今年を創立80周年と位置付けるプロ野球は、緩やかな“ロータリークラブ的”な集まりだった。1950年の2リーグ分裂以来、巨人阪神など人気球団を抱えるセを中心に回ってきたのは厳然たる事実。球界再編をきっかけに力を増してきた選手会との利害関係も一致し、それぞれが足並みをそろえて旧態依然たる球界の掟にもの申す機会が増えた。

 楽天、日本ハムの「急進派」が所属するパは、NPBエンタープライズを軸とした球界ビジネスの推進を声高に主張している。その考えに賛同する選手会も、事業の核となる国際大会への選手参加に理解を示すなど、概ねバックアップの姿勢だ。楽天の三木谷浩史オーナーは、参入当初に「プロ野球をビジネスとして成立させる」と宣言。自ら初年度に5000万円の黒字を計上して実証し、それまでの球界の赤字体質に疑問符を投げ掛けた。それに呼応し、「1球団単位で利益を求めても限界がある。エゴを捨て、球界全体で考えるべき」という意見も少なくない。

 球界では今でも“身売り説”がくすぶっている。「球団数を減らした1リーグ制がいい」という一部の声は、依然として消えない。球団経営に親会社が熱心でない、親会社自体の経営が順調でなくなった――などさまざまなケースには、シビアとなった経済構造が背景にある。滑り出した侍ビジネスも未知数で、先行きに不安を訴える関係者は多い。プロ野球の未来のためには、どうすればいいのか。制度面を含め、関係者が真剣に考えなければいけない。

2004年に起きた球界再編騒動。あれから10年経った今、球界の力関係は様変わりしたが、“身売り説”などはくすぶっている

日本球界の未来を考える

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週刊ベースボール編集部による日本球界への提言コラム。

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