高卒7年目、今年11月で25歳になる。年齢的にも、今年のドラフトが「最後」と危機感を抱いている。今夏の都市対抗では2本塁打、日本代表にも名を連ね、社会人選手としてのキャリアは申し分ない。連載の最終回はだれもが認める実力があり、あとは球団ニーズにかかる逸材を紹介していく。 
▲今夏の都市対抗では2、3回戦[写真]と2試合連続本塁打。パワーは「プロ顔負け」とも言われており、あとは補強ポイントに合致するかにかかっている[写真=田中慎一郎]
ベストナインの常連も越えられないカベ
それは昨年のドラフト会議直前のことだった。社会人野球が誇る屈指の強打者・
井領雅貴は桐蔭学園高時代の同期で、現在、千葉
ロッテでキャプテンを務めている
鈴木大地(東洋大出身)と話をする機会があった。
「そのときは『また一緒に野球がやりたいからプロに来てくれよ。頑張ってくれ』と声を掛けてくれました」
同級生からの励ましの言葉に感謝している。しかし、その一方で感じた思いを、井領は正直に語ってくれた。
「高校で3年間、一緒に練習してきた仲間ですから、もちろんうれしいって気持ちはあるんですけど、実は悔しかったというか……。そういう気持ちの方が強かったですね」
2008年に社会人野球の名門・JX-ENEOS(当時は新日本石油ENEOS)に入団した井領は高卒ルーキーながら都市対抗で安打を放つなど、早くから非凡な打撃センスを見せていた。一昨年の都市対抗では一番打者としてチームを引っ張り16打数6安打1本塁打。昨年は三番として20打数6安打4打点の成績を収め、チームを51年ぶりとなる都市対抗2連覇に導く活躍。個人としても2年連続で社会人ベストナインに選出されるなど、アマチュア球界を代表するスラッガーであり、攻守走の3拍子が高いレベルでそろった即戦力外野手として、いつしか注目される存在となっていた。
こうして迎えた昨年のドラフト会議。やるべきアピールすべて見せたはずだった。しかし、井領を指名する球団は最後まで現れなかった。
「昨年の東アジア競技大会で日本代表に選んでいただいたんですけど、そのメンバーには僕と同じ年齢の同級生が7人いて、その中の5人が・・・
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