どのような大エースでも、年齢を重ねると体の衰えを感じるはずだ。阪神のエース、能見篤史も同じ状況にある。ただ、その老いを自ら受け入れることで、新しい道を導き出しつつある。これまで培った経験を基に、目指すべき道を見つけ、マウンドに上がり続けている。 文=道辻歩(デイリースポーツ)、写真=大賀章好、前島進、BBM 「いずれね、どこかで来るだろうというのはあったよ」
漠然とイメージはあった。いつかはこんな日も来るんじゃないか。心と体のバランスの崩壊。分岐点は訪れた。「それが去年のいつ、どこからというのはないんだけど」。始まりは2014年3月28日、
巨人との開幕戦(東京ドーム)で4回2/3、10失点。屈辱的な敗戦で幕明けとなった14年のシーズンが、今季の能見篤史のすべてにつながっている。
「気持ちと体が、若いときは比例しなかった。だけど、試合中に点を取られたらマイナスのイメージをするときがピッチャーにはあって、そのときに(去年は)体も動かなかったりした。今まで動いてきたものが、去年に限っては体のだるさであったり、投げていての疲れとか、結局(解決策が)見つからなかった」
周囲に感じさせなくても、昨年は苦しみやもどかしさが常について回った。6月から7月にかけて自己ワーストの6連敗も喫したが「勝てずに申し訳なかったけど(投球として)すべてゲームを壊したわけではなかった」と、その時期だけの問題ではなかった。勝敗の結果だけでは分からない深刻な状況に陥っていた。
「回復をうまく心掛けるとか練習量を落とすとか、細かいことはやったけど、試行錯誤でシーズンが終わった感じで」

35歳となった昨年あたりから体の疲れが取れなくなるなど、年齢を感じるようになった。そこから新しいトレーニングを始めるようになった
結果的に26試合で9勝13敗。防御率が3.99。06年以来の負け越しとなった。クライマックスシリーズでは2戦先発1勝で日本シリーズ進出に貢献。ただ、その中でも進むべき道ははっきりと見えないままだった。
「オフに入ってからもウエートとかはしていたけど、何が正解か分からなくて。ただ・・・
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