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数字から見るプロ野球 森友哉は小柄な大打者になれるのか?

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文=永山智浩 写真=BBM

8連敗で元気がない西武森友哉の打棒爆発に期待したいところだ



身長170㎝以下のスラッガーは過去3選手


 2年目の西武の森友哉は7月28日現在、90試合に出場し、打率.288、13本塁打、47打点の活躍を見せている。ルーキーだった昨年は41試合で6本塁打とスラッガーぶりを発揮。今季は六番に定着し強力打線の一角を担うまでに成長した。

 森は大阪桐蔭高出身で、先輩には現役のスラッガーが多いが、その中でも2年目までの実績は一番だ。チームメイトの中村剛也は現役最強スラッガーだが、1年目は一軍出場がなく2年目に4試合に一軍出場を果たしたが本塁打はゼロ。同じくチームメイトの浅村栄斗も1年目は出場がなく、2年目には30試合で2本塁打。

 日本ハム中田翔は2年目に初出場を果たしたが22試合で本塁打はゼロ。中日平田良介は1年目に2試合に出場したが、初本塁打は3年目だった。いまや球界を代表する先輩たちよりも、早い出世を見せている森。今後、どれだけ素晴らしい成績を残すのか注目したい。

 森は身長170㎝、体重80㎏。現在のNPB所属選手の中でも身長は決して高くないが、重心の低い構えからフルスイングで長打を放つのが一番の魅力だ。さて、ここで身長170㎝以下での通算本塁打のランキングを見てみよう。

1位 門田博光(ダイエー)
567本/170㎝81㎏

2位 青田昇(阪急)
265本/170㎝69㎏

3位 若松勉ヤクルト
220本/168㎝75㎏

4位 福本豊(阪急)
208本/169㎝68㎏

5位 大田卓司(西武)
171本/170㎝79㎏

6位 大石大二郎(近鉄)
148本/66㎝71㎏

7位 森本潔(中日)
146本/168㎝74㎏

8位 中暁生(中日)
139本/168㎝73㎏

9位 岩本義行(東映)
123本/167㎝71㎏

10位 西園寺昭夫(ヤクルト)
117本/170㎝68㎏

括弧内は最終所属球団

 この中でスラッガーと言えるのは門田、青田、岩本の3選手だ。

 門田は南海、オリックス、ダイエーに所属し23年間プレー。森と同じく左打ちで、最速と言われるスイングスピードでやはりフルスイングをモットーとした打者。81、83、88年と3度の本塁打王に輝き、通算567本は歴代3位。森がもっとも近いタイプの歴代選手と言えるだろう。

 青田と岩本は戦前から戦後にかけて活躍した選手。ともに右打者で、青田は巨人時代の48、51年、大洋(洋松)時代には54、56、57年と5度も本塁打王を獲得したスラッガー。岩本も本塁打王こそないが、神主打法で戦前では唯一の1試合3本塁打(42年)、戦後にはプロ野球史上初の1試合4本塁打をマークしたアーチストだった。この時代は大柄な選手は多かったものの、現在に比べれば平均的に身長の低い選手が多い時代でもあった。

 いままであげた3選手はいずれも主に昭和時代に活躍した選手。平成年代に入ってからのスラッガーと呼ばれるのはやはり長身や大柄な選手が多い。小柄な選手はどちらかと言えばトップバッター、安打製造機が多く、森は稀代なアーチストと言える。

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