銀メダルを獲得したU-18ワールドカップではほぼ先発でマスクをかぶり、投手陣を引っ張った。通算で16打数7安打5打点をマーク、木製バットでも結果を残し、今夏から「強打の捕手」として評価を高めている。 昨夏の甲子園から見ている選手だ。大舞台での経験が豊富で、順調に育っているという印象を持っていたが、この夏の甲子園でのプレーと、その後のU-18ワールドカップでの動きは見違えるようだった。自分のチームでは打順もクリーンアップに座っていたので、やや荒っぽさがあったが、ジャパンではワキ役に徹するというか、フォア・ザ・チームの働きをこなしていた。あのような献身的なプレーを見せると、スカウト陣はさらに評価することになる。
打撃フォーム(7.5)は変なクセはない。コースに逆らわず、リストの使い方も柔らかい。ただし、初球から強引なスイングになるシーンがあったので、自分のストライクゾーンを確立して、その中でコンパクトな振りができることが望ましい。速い球への対応も悪くない。
左右高低の見極めがまだ甘く、選球眼(7.5)は改善する必要がある。狙い球以外にも手を出していては、プロの世界では苦労する。場面に応じて狙い球を絞ったり、ゾーンを絞ったりしながら確率を上げていってほしい。
捕手守備(8.0)では肩の強さが目立つ。捕球から送球までの動きではまだムダな動作があるので、今後はさらに素早いスローイングを身につけてもらいたい。ワールドカップでは普段組んだことのない投手の球筋に対しても、しっかりキャッチングができていた。プロでも一軍レベルの投手の球を数多く受けていけば、問題はないだろう。とにかく、プロのスピードに慣れることだ。
走塁(8.0)は甲子園から積極的に先の塁を狙う姿勢が見られた。足はそこまで速くないが、打球判断など基本的な動きは問題なくできている。3拍子のバランス(7.5)では、打撃面で言えばミート力を上げることが必要になる。もともと、体の強さがあるので、今後は土台づくりからしっかりこなしていけば、攻守走でまだまだレベルアップできる素材だ。
自チームでは長打を欲しがっていたこともあって、判断力(8.0)はまだ磨く必要がある。走者がどこにいるのかによって場面に応じて軽打するなど、新たな一面を見せてほしい。メンタル(8.5)は強い。負けん気が強いのはいいので、後はその闘志を内に秘めて冷静に投手を引っ張っていくことが必要だ。捕手というポジションは、頭を常に冷静にしておかなければならない。
体力(8.0)は及第点だが、プロで長く試合に出るには、強化が必要。捕手は練習からやることが多くて大変なポジションだが、フットワークを磨いたり、下半身を強くすることを意識してほしい。反復練習をこなせるだけの強さはあるので、数をこなすことだ。
まだ完成された選手ではないため総合力(8.0)は現時点ではこの数字になる。それでもワールドカップで見せたプレーは将来性(8.5)に期待を持たせるものだった。〝俺が四番だ〟という心構えでやっている選手だったが、ワキ役としてまずは守りに専念した姿勢は良かった。これほどまでに評価を一変させる選手は珍しい。適応能力を見せたことで、指名順位も見直す球団もあるだろう。
■採点表 打撃フォーム 7.5 選球眼 7.5 守備力 8.0 走塁 8.0 3拍子のバランス 7.5 判断力 8.0 メンタル 8.5 体力 8.0 将来性 8.5 総合力 8.0 合計 79.5 ※採点の基準は2015年のドラフト対象選手
PROFILE ほりうち・けんご●1997年4月15日生まれ。静岡県出身。176cm 80kg。右投左打。内田小1年時から内田野球少年スポーツ少年団で捕手兼投手として野球を始め県大会出場。東海大翔洋中では投手専任で3年時に県大会優勝で東海大会出場。静岡高では1年春の県大会から控え捕手(背番号12)でベンチ入りし、同秋から五番・レギュラー。2年春から四番。同夏から今夏まで3季連続で甲子園に出場し、今春のセンバツは50年ぶりの8強進出。U-18ワールドカップでは7戦に出場し銀メダル獲得。