亀田のボクシングスタイルはプロスポーツの現在を見事に象徴していた

侍ジャパンの山本監督に、いまのプロ野球の問題点が見えないハズはない[写真=桜井ひとし]
12月4日に行われた亀田興毅のWBAのバンタム級世界選手権をテレビで見ていて「困ったなあ」と深刻な気分になっちゃいました。
相手のルイス(メキシコ)と身長、リーチの差がかなりあるので、亀田はパンチが届かないように距離を取って、ガードを固めて、走り回るだけ。これってボクシングとは言えんでしょう。リングはダンスのステージじゃないでしょうが。相手も相手で、いっこうに飛び込んでいこうとしない。というか飛び込めないんです。計量は53.5キロジャストでパスしたのですが、リングに上がった時は62キロもあったそうです。計量から1日でこのリバウンドは何なの?とてもプロとは言えませんよね。この体では動けるワケがない。
亀田陣営はそれを知ってか知らずかパンチの射程圏外でグルグル回るばかり。やっぱりね、世界マッチなら、“凄惨な打ち合い”の場面がいくつかないとドラマにならんのです。
亀田の不幸は、彼を一発でたたきのめす、実力も人気もある日本人のライバルを持たないことでしょう。そういうハードパンチャーが、いつも自分の重しとして存在すれば、ガード固めてグルグルなんてボクシングはやれませんよ。
もう何十年も前ですが、オレは海老原博幸というフライ級のハードパンチャーが大好きでした。亀田と同じサウスポーで、左の一発でたいがいの選手がマットに沈んだ。感情を表に出さないクールさがまた良かった。
同時期に、あのファイティング原田がいました。彼は海老原ほどのパンチ力はないけど、1分間に60何発というパンチを繰り出す猛ラッシュで人気があった。こちらはファイトむき出し。
あのころのボクシングが面白かったのは、このライバルの対照の妙があったからです。
ボクシングに限らず、このヒーローたちのライバル争いこそが、見るスポーツの最大の魅力なのです。
さて、ここからがプロ野球の話ですが、絶対的なヒーローと、史上に残るライバルの戦い。これがいまのプロ野球には欠落しています。いつも言ってることじゃないかって?いや、亀田の試合を見ていて、これはプロ野球だけの問題じゃないなとオレには思えてしまったんです。だから深刻な気分になっちゃったのです・・・
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