両リーグのペナントレースが再開されようとした6月19日、セ・リーグは首位が勝率4割台という異例の事態の可能性があった。これは同一リーグでのペナントでは絶対に起こりえない現象だが、今年の交流戦でパ・リーグが61勝したのに対し、セ・リーグは44勝で3分けと大きく負け越したためである。 
昨季Vの巨人でも借金と異常事態になっている今年のセ・リーグ。この大混戦から抜け出すチームは出てくるのか
交流戦が終了した時点でのセ・リーグ6球団の成績はこうであった。
1位巨人 34勝32敗0分.515
2位
DeNA 32勝33敗1分.492
3位
阪神 31勝33敗0分.484
4位
ヤクルト 30勝34敗1分.469
5位
中日 30勝35敗1分.462
6位
広島 28勝35敗0分.444
巨人が19日からの中日3連戦(東京ドーム)で3連敗し、DeNAが広島3連戦(横浜)に1勝しかできず、阪神もヤクルトとの2連戦(甲子園)に1勝しかできないと、セ・リーグの6球団すべてが勝率4割台になってしまうところだった。しかし、なんとか巨人が中日との2戦目に7対1で勝利し、全球団が負け越す事態だけは免れた(しかしその後、7月3日に全チームが勝率5割を切る事態に)。
全球団が勝率4割台は同一球団で戦うペナントレースでは絶対に起こらない。同一リーグの戦いでは勝ち数と負け数のトータルが同じになるからである。しかし、現在のプロ野球には交流戦がある。一方のリーグの6球団が大幅に負け越すと、交流戦の成績をリーグ内の成績にプラスした勝率で優勝を決める方式では、5割台のチームが消えてしまう可能性も出てくる。
交流戦前のセの勝敗数は141勝141敗であった。それが交流戦で44勝61敗3分けと、17試合の負け越しの結果が出てはレギュラーシーズンが終わったとき、必然的に負けの方が多くなる。
近年は各チームの実力差が拮抗
現在のプロ野球は大きな実力の差がなくなってきた。かつては1位と最下位に50ゲーム以上の差がつくことも珍しくなかった。2リーグ制が誕生して間もない時代のころなどは、社会人野球からプロに転向した球団が多かったためである。50ゲーム差以上ついたのがプロ野球史上で過去に5例あるが、61年のパを最後に姿を消している。首位と最下位との勝率は以下のとおりである。
▼59.0差 50年(セ・リーグ)
1位松竹.737
8位広島.299
▼55.0差 54年(セ・リーグ)
1位中日.683
6位大洋.250
▼61.5差 55年(セ・リーグ)
1位巨人.713
6位大洋.238
▼57.0差 55年(パ・リーグ)
1位南海.707
6位トンボ.300
▼51.5差 61年(パ・リーグ)
1位南海.629
6位近鉄.261
首位と最下位が50ゲーム差以上という一方的なペナントも61年のパを最後にないが、40ゲーム差以上ついたのも47ゲーム差の05年のパが最後となっている。
その05年は
楽天1年目のシーズンであるが、翌06年の楽天は勝率.356と力をつけたので、2年連続の最下位ではあったが、首位との差は33ゲーム差だ。
昨年の首位と最下位の差はセが21ゲーム差、パは17ゲーム差。上下の差はグッと縮まっている。50年にスタートしてから昨年で65年になる両リーグの歴史だが、首位と最下位が20ゲーム以内という緊迫したペナントはセに9例、パに10例しかない。特にパの場合は9例までが1997年以降である。セにしても9例のうち7例は70年代以降と、最近のプロ野球は力の差が縮まっていることが分かる。
1位と最下位の差がもっとも少なかったのは73年のセで・・・
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