文=永山智浩 写真=BBM 
ファン投票での出場となる広島・新井貴浩は2年前のオールスターでMVPを受賞している
MVP7回!オールスターでひと際輝いた清原和博
今年で65回目を迎えるオールスターゲーム。昨年まで164試合行われ79勝75敗10分けでパ・リーグが4勝リードしている。
スターが集まるだけに華のある選手ばかりだが、その中でも「オールスター男」「お祭り男」と呼ばれ、ひときわ「夢の球宴」で目立った選手もいた。試合ごとに表彰選手が選ばれるが、その中で最高の栄誉はMVPだ。
最優秀選手賞だが、過去には殊勲賞、最高殊勲選手賞と言われた時代もあった。その他、年代によってまちまちだが、敢闘賞、打撃賞、投手賞、技能賞、またスポンサーの名称が入った賞など、5人程度選ばれる年もある。
このMVPを含めた「賞」を多く獲得している選手のランキングを出してみた(トータルでの新人賞などは除く)。
長嶋茂雄(巨)14回(0)43試 王貞治(巨)14回(3)58試 山本浩二(広)14回(2)41試 山内一弘(広)13回(3)38試 野村克也(西)13回(2)57試 清原和博(オ)13回(7)43試 落合博満(日)12回(2)39試 近藤和彦(洋)11回(1)25試 張本勲(巨)10回(2)51試 福本豊(急)10回(3)50試 掛布雅之(神)10回(3)30試 松井秀喜(巨)10回(3)22試 カッコ内はMVPの回数。所属は最終出場球団 プロ野球の至宝、長嶋茂雄、王貞治の「ON」とオールスター最多本塁打14本を放っている山本浩二が14回とトップ。
10回以上の顔ぶれを見ても、やはりプロ野球に歴史を刻んだ名前が連なる。長嶋は入団1年目の第2戦(広島市民)、一番打者としてタイムリー二塁打を放ち初の敢闘賞に輝き、14回も賞を獲りながら一度もMVPを獲得したことはなかった。MVPは勝利チームから選ばれるが、長嶋が出場した試合のセ・リーグの成績は14勝28敗1分けと大きく負け越していた。
59年第2戦(大阪)には4回に勝ち越しとなるオールスター初本塁打を放つなど3安打2打点を挙げたが、MVPは先制3ランを放ち2安打した
中利夫(
中日)に奪われるなど、不思議とMVPには縁がなかった。それでも通算43試合で打率.313(150打席以上で1位)、7本塁打、21打点と「ミスタープロ野球」の貫録を見せた。
王は歴代最多の58試合に出場。初の受賞は62年第2戦(広島市民)で先制2ランを放ち優秀選手賞を受賞。63年第2戦(東京)では本塁打を含む3安打、2打点で初のMVP。以後、77年第3戦(神宮)では同点2ラン、79年第1戦では本塁打を含む2安打、3打点で3度目のMVPを獲得している。
オールスターのMVPのなかった長嶋は日本シリーズでは4度もMVPを獲得しているが、王は日本シリーズのMVPはなく、「プロ野球の七不思議」と言ってもいいだろう。
MVPをもっとも獲得したのは清原で7度。ルーキーイヤーだった86年第2戦(大阪)の7回に同点本塁打を放ちMVPを獲得。これは高卒ルーキーとしては唯一のMVP。
西武時代5回、
巨人時代2回と、オールスターの中心選手だった。
また22試合にしか出場していないのに10回も賞(MVPは3回)を獲得したのは松井秀喜。2.2試合に1回の割合で賞を獲得していることになる。これは10回以上ではもっとも割合が多い選手で、もし日本球界に残っていたら、確実に14回を超えていた「オールスター男」だった。
さて今年は出場56人中25人が初出場。過去の受賞者は8人しかいない。その中でもっとも賞を獲得しているのは、新井貴浩(広島)、
前田健太(広島)、
松井稼頭央(
楽天)の3回(ともにMVPは1回)となっている。