黄金時代の
西武で強烈なインパクトを残した投手の一人と言えば、
郭泰源の名前が挙がるだろう。1985年、台湾の合作金庫から西武に入団するといきなりノーヒットノーランを記録するなど9勝をマークして、2年ぶりの優勝に貢献。力感がなく、しなやかな腕の振りから150キロ超のストレートを投げ込み、「オリエンタル・エクスプレス」と称された。さらに真横に高速で曲がる“魔球”スライダー。女房役だった
伊東勤(現
ロッテ監督)は「スライダーの要求に一度もクビを振ったことがないと記憶しています。それほど本人も自信があったのだと思います」と述懐する。
今回、
伊原春樹氏との対談で郭を尋ねに台湾を訪れ、その魔球について聞いてみたが、本人は「でも、一番自信を持っていたのはシュートだったんですよ。それがあったから、スライダーも生きたのでしょう」と答えてくれた。確かにシュートのキレ味も抜群で、とにかくすべての球種を低めに制球するなど意のままに操っていたことが思い出される。
今週号では今季注目すべき変化球を特集したが、ほかにも強烈なインパクトを残す魔球が登場することを期待したい。