東都大学リーグ戦は9月2日に神宮球場で開幕。この秋に“台風の目”となりそうなのが、7季ぶりに一部へ復帰する日大だ。「三番・中堅」の俊足外野手は学生ラストシーズン、念願の大舞台での活躍を誓っている。 取材・文=中島大輔、写真=大賀章好 
千葉県習志野市実籾の日大グラウンドで調整を続ける山崎。開幕カードは9月2日の国学院大と、ラストシーズンに暴れ回る覚悟だ
野球人生の転機は中学時代の「準優勝」
東都大学一部二部入れ替え戦が行われた6月中旬の神宮球場に、プロ10球団のスカウトが集結していた。ネット裏のお目当ては、俊足巧打の左打者、
山崎晃大朗だ。
「今年の春が終わって、プロを意識し出しています。昨年は戸根(千明、現
巨人)さんを見に来て、自分らはオマケかなという感じだったので。正直、10球団に来ていただいたのはビックリするくらい。でもプレッシャーは全然感じていなくて、自分が努力するだけだと思っています」
3年秋に東都二部で3本の三塁打を放った長打力と俊足で注目を集め、今春はリーグ6位の打率.333をマーク。一気にドラフト候補へと駆け上がったが、大学2年時までは特に目立つ選手ではなかった。
「4年後、プロに行く気はないのか」
青森山田高で3年間の活動を終えた夏、五十嵐康朗部長(当時)からそう聞かれた。いち早く山崎の才能に気づいたのは、当時の部長だったかもしれない。
「何、言ってんのや?」
そう感じた山崎だが、部長の目は教え子の可能性を見抜いていた。
小学3年から野球に明け暮れてきた山崎の転機は、中3のジャイアンツカップだった。この大会で準優勝したことで、青森の強豪校から声がかかる。「厳しい練習をしたい」と、欣喜雀躍して単身東北に渡った。
野球漬けの日々は確かに厳しかったが、やめたいと思ったことは1度もない。厳しくもレベルが高く、充実した3年間を過ごした。
「山崎はめちゃめちゃ明るいです」
そう語るのは、日大の姫野那甫煕マネージャーだ。だが、それは関西人のあくまで一面にすぎない。グラウンドでの山崎は誰よりも寡黙だ。
「たぶん、普段と人格が変わっています。グラウンドではスイッチが入っているというか、力を抜くわけにいかないので。私生活では正直、力を抜きたいというか(笑)」
日大入学から2年間は、練習についていくのも大変だった。金属から木製にバットが変わり、満足のいくスイングもままならない。
「こんなはずじゃない。なんで打てへんだ? なんで思ったところにバットが出ないんだ?」
いつ打てるようになるのか、トンネルの出口がまるで見えなかった・・・
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