14年間にわたり千葉ロッテマリーンズ一筋でプレーし、チームの顔とも呼ばれた今江敏晃。32歳にして下した決断は、東北楽天ゴールデンイーグルスへの移籍だった。犬鷲軍団の一員として杜の都・仙台に降り立った今江敏晃が思い描く新天地での戦い、そして、ずっと抱き続けてきた東北への思いとは…。12月9日の入団会見直後に本人を直撃した。 取材・構成=富田庸、写真=桜井ひとし 11月10日、海外FA権行使の記者会見では涙を見せた今江だったが、12月9日の入団会見では笑顔いっぱいだった
涙のFA宣言から笑顔の入団会見
FA宣言をした際の涙がすべてを物語っていた。ロッテはいわゆる宣言残留を認めていない。事実上の決別宣言だった。最後に示した深いマリーンズ愛。それでも、1人のプロ野球人として東北の地にやってきた男の表情には、すでに一点の曇りも存在していなかった。 ――シーズン中は何度も足を運んでいる場所ですが、楽天の一員として降り立った仙台の印象は違いましたか。
今江 仙台駅からいつもと同じルートでコボスタ宮城に来たんですけど、ビジターで来ていた感覚とは違いましたね。何か初めて来たような…。新しい気持ち、新しい環境で野球ができるので、今はワクワクしています。チームが変わり、入団会見でたくさんのフラッシュを浴びました。注目度、期待度の高さを身をもって感じることができましたし、シーズン中も同じようにフラッシュを浴びることができるように頑張ります。
――大きな決断があって、入団会見に臨んだと思います。今の心境は。
今江 この場に来るまで、本当に長く感じました。自分としても少し前までは、ほかのチームの入団会見に臨んでいることは想像もしていませんでした。悩んで、悩んで、悩んで下した決断なので、現時点では少しの不安はありますが、やってやるぞという気持ちです。
――海外FA権行使の会見では涙もありました。当時の思いを聞かせてください。
今江 14年間、ロッテでプレーしてきたので、いろいろな思いが込み上げてきたんです。その時点ではしっかりと決断して、移籍について気持ちは前向きだったんですけど、チームメート、ファンの皆さん、球団職員の方々のことを考えると、グッときて感情を抑えることができませんでした。正直、ロッテを離れるイメージはなかったですから…。
――決め手はどこにあったのでしょう。
今江 球団社長の立花(陽三)さんの「絶対に必要な戦力だ」という言葉と、副会長の星野(仙一)さんの「一緒に頑張っていこう」という言葉。これらは僕が一番欲していた言葉だったので、楽天に行こうと決めました。
梨田監督に帽子をかぶせてもらう今江。旧知の間柄という2人が新たな球団での挑戦をスタートさせる
――背番号は変わらず「8」です。
今江 ロッテで初めて着けた番号が「25」。新天地で一からのスタートということで、この番号と「8」で迷いました。楽天の「8」は若い選手が着けていたんですけど、「8といえば今江」という声も周りの方から聞きましたので、自分の思い入れも踏まえて「8」を着けさせてもらうことになりました。
――ユニフォームはガラッと変わります。鏡を見てどんな印象ですか。
今江 意外とイケるやん、と(笑)・・・
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