5月5日に再び単独首位に立った横浜DeNA。翌日には両リーグ20勝到達一番乗りを果たし、好調ぶりをアピールする。この要因はどこにあるのだろうか。チーム内での変化や、表面には表れない強さの秘密を監督やコーチ、選手の証言から検証する。 写真=大泉謙也、川口洋邦 コマがそろった投手陣
今までのDeNAならきっと、ズルズルといっていたはずだ。4月9日の
阪神戦(甲子園)で8年ぶりの単独首位に立ち、坂道を転がり落ちるように7連敗。再浮上の道は険しく思えた。ところが同22日の阪神戦(横浜)から5連勝。その後も6勝2敗と持ち直した。5月5日の
ヤクルト戦(横浜)で再び単独首位に。翌6日には42年ぶりとなる、両リーグ最速の20勝に乗せた。声の主は就任4年目を迎える
中畑清監督。力強く、そして落ち着いた口調で、かつてない手応えを表現した。
「今は先発が安定しているから、安心して試合を進められる。ピンチでもしっかり粘って投げてくれる。だから打線も、ワンチャンスをモノにできるという雰囲気をつくれると思う。この時期に『余裕』という言葉は使っちゃいけないんだけど……。こうなると、余裕を持って安心してゲームを見ることができるね」
イ
ケイケの印象こそ強いが、開幕前から投手力の充実をカギに挙げてきた。開幕投手の
久保康友、G.
モスコーソ、
井納翔一、
山口俊を先発4本柱に指名。DeNA創設初年度の2012年に開幕投手を務めた
高崎健太郎、昨年の開幕投手・
三嶋一輝を5、6番手に入れた。4月28日の
広島戦(マツダ広島)で久保が今季初勝利。シーズン序盤で開幕ローテーションの投手全員に勝ち星がついたのも、試合が壊れていない証拠だ。

5月6日のヤクルト戦[横浜]で今季3勝目を飾った三嶋。山口、井納、久保、三浦と先発の層は厚い
もっとも、年間を通して6人だけでローテーションを守れるはずはなく、実際にモスコーソが左太もも裏肉離れで、高崎は不調のため二軍降格となっている。
川村丈夫投手コーチも「何かあったときのベテランであったり(二軍で)で状態のいい投手がカバーしていくのが理想」と説明。その代表例が
三浦大輔だった。
開幕を二軍で迎えながら、腐らずチャンスを待ち続けた。先発のコマ不足により、5月5日のヤクルト戦で初昇格。丁寧にコーナーを突き、6回3失点で勝利投手になった。23年連続勝利は
山本昌、
工藤公康に並ぶプロ野球記録。「自分で勝てたというよりも、みんなに勝たせてもらった。本当にもう、感謝しかありません……」。生え抜きの24年目、ベイスターズの大看板が、お立ち台で残した謙虚な言葉。「三浦さんに勝ちをつけたい」とチーム一丸となったあたりからも、1勝以上の価値があったことは言うまでもない。
先発以上に見逃してはいけないのが、リリーフ陣の充実だろう。中畑監督が「彼の存在が一番大きい」と名指しで評価するのが新人・
山崎康晃。開幕から抑えを任され、見事な働きを見せているドラフト1位右腕だ。3月31日の広島戦(横浜)でプロ初セーブ。プロ野球の新人記録となる9試合連続セーブまで達成した。150キロ前後の速球に加え、フォークに近い軌道を持つツーシームが決め球。投げミスはほとんどなく、他球団のスコアラーも「(ツーシームは)魔球に近い」と驚くほどで、ここまでセ・リーグトップの16セーブを挙げている。

山崎康が抑えとして確立。5月8日は亜大でもバッテリーを組んだ嶺井とハイタッチ
最大の課題であったストッパーが固定されたことで、中畑監督は・・・
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