西武と広島は日本シリーズで86、91年に対決しているが、当時は優勝争いの常連。しかし、15年は両チームとも優勝戦線から早くに脱落していた。開幕戦で敗れた広島は、ついにシーズンで一度も首位に立つことなく終わり、8月8日以降は4位に定着したまま。一方の西武は5月19日までは首位争いにからんでいたが、最後は4位に沈んだ。広島は91年を最後に24年も優勝から遠ざかっているが、これは両リーグを通じて最も長く優勝から見放されているチームである。 西武・ソフトバンクに5年続けての負け越し

2016年シーズンも打線のキーマンになるのは四番の中村剛也。特にソフトバンク戦でどれだけ結果を残せるかもV奪回の大きなポイントになりそうだ
勝率.500で4位に終わった西武だが、優勝したソフトバンク、2位の
日本ハムには特に弱かった。ソフトバンクには7勝16敗2分けであり、日本ハムにも8勝17敗。ソフトバンクには4月末までの6試合は3勝2敗1分けと対等以上に戦っていたが、5月以降の19試合には4勝14敗1分け。日本ハムにも9回戦までは5勝4敗と西武のほうが勝ち越していたが、10回戦以降は3勝13敗と一方的な負け越しを喫した。
日本ハムには14年も8勝14敗2分けと負け越したが、12、13年には勝ち越している。しかし、ソフトバンクは11年以来、5年続けての負け越し。この5年間に40勝73敗8分けで、勝率にすると.354とダントツで弱い。ただ、この両球団の通算対決を見ると西武790勝、ソフトバンク(南海、ダイエーを含む)は802勝で87分けとほぼ互角に近い結果を残しており、81年から02年にかけては西武が逆に22年も続けて勝ち越している。
それがいまや圧倒的にソフトバンクが優位に立っている。03年以降にソフトバンクが勝ち越した9年間のうち4年はそのまま優勝。ソフトバンクの優勝を西武がいかに助けているかは一目瞭然である。
最近の対決では西武は完全に打ち負けている。11年から13年にかけての3年間は西武のソフトバンク戦における打率は毎年2割2分台であり、14年は.231、15年は.245だが、それでも年間のチーム打率.248、.263には遠く及ばない。
西武は主砲の中村剛也が完全に警戒され、思うように力を発揮していない。13年は負傷でペナントレースには26試合しか出場できなかったが、ソフトバンク戦では6試合で2本塁打であり、14年にはソフトバンク戦には21試合に出場したが、打率は.238で本塁打は5月11日に打った1本であった。
ほぼフル出場した15年でも、ソフトバンク戦には.253で7本塁打だが、本塁打を打った7試合に西武は3勝4敗。中村は本塁打を打てないばかりか、肝心なところでは完全に封じられている。
16年は優勝を狙うためにはソフトバンクに対するコンプレックスを解消しなければならないが、最大の使命を負うのは中村なのである。
秋山翔吾が15年のソフトバンク戦には打率.324で4本塁打と気を吐いただけに、中村が本来の力を発揮できれば、このカードのコンプレックスなど一気に解消するはずである。
盗塁成功率のアップもチームの大きな課題
秋山は216安打を放ち、10年の
マートン(
阪神)が樹立した214安打のシーズン最多安打記録を更新する新記録を樹立したばかりか、自身初の全試合フルイニング出場も達成。27回の猛打賞(3安打)は10年の
西岡剛(
ロッテ)に並ぶ最多タイ記録。守っても341刺殺の両リーグ最多刺殺も記録した。
秋山はチーム最多の17盗塁を記録したが、逆に・・・
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