週刊ベースボールONLINE

記録の手帳 / 千葉功

「打てる捕手」はなぜ姿を消してしまったのか

  9

2015年のプロ野球で目立ったのは「打てる捕手」が姿を消したことだ。規定打席に達した捕手からして両リーグで1人ずつ。ヤクルト中村悠平西武の炭谷銀仁朗である。これは今シーズンに限った傾向ではなく、最近のプロ野球で打撃を売り物にできる捕手は巨人阿部慎之助ぐらいであったが、その阿部が一塁に転向して故障も多く規定打席に達しなかったので、強打の捕手不在が余計に目立った今年のプロ野球であった。

阿部の不振が響いた今シーズンの巨人打線


一塁転向を表明しながらもチーム事情で捕手での出場も強いられた巨人の阿部慎之助。この男に続く打撃にも秀でた捕手の出現が待ち望まれる



 優勝を逸した巨人はチーム打率がリーグワーストの打線だったが、中でも阿部慎之助の不振が大きく響いた。昨年まで14年間の通算打率が.287の阿部が、今シーズンは.242と新人時代の01年の.225に次ぐワースト記録で終わった。

 32試合にも欠場したので打席数も419に止まり、規定打席の443打席にも満たなかった。阿部が規定打席に満たなかったのは、1年目の01年と03年、11年に次いで4度目。新人の01年は打率.225であったが、03年は堂々の.303であり、11年はわずか6打席の不足で打率も.292であり、20本塁打、61打点を記録していた。そんな阿部が今シーズンは打率.242、15本塁打、47打点だ。

 今年の巨人は開幕前から阿部の一塁転向を発表し、捕手には2年目の小林誠司の定着を予定していた。実際に3月27日のDeNAとの開幕戦は四番・一塁は阿部であり、八番・捕手は小林だったが、小林は2戦目の6回には代打のセペダと交代。3戦目にはヤクルトから加入した相川亮二が先発メンバーに起用されて最後までフル出場した。

 3月31日からの中日3連戦も2試合には小林が先発出場したが、4打数0安打に終わると3試合目には相川がスタメンとなった。小林は3戦目の最後に出場したが三振。これで開幕から8打数1安打だと、開幕7戦目の4月3日の阪神戦には四番・捕手は阿部の布陣に戻った。4月7日からの広島3連戦はすべて四番・捕手で阿部であり、10日からのヤクルト3連戦の先発捕手も阿部、實松一成、阿部の順で小林の捕手定着は開幕早々に見送られた感じである。

 4月17日の阪神戦も五番・捕手で阿部でスタートしたが、1回に1点を先取し、さらに二死二塁で阿部が右翼線に痛打を放って一塁を回ったときに左太ももに異常を感じて途中退場した。

 阿部はその後も捕手として出場を続け、5月13日の広島戦から31日の楽天戦までで2試合に全回出場。だが6月5、6日のソフトバンク戦の途中からマスクをかぶったのを最後に再び捕手として出場することはなく、一塁手に専念した。

 今年の阿部は捕手として出場した26試合には84打数26安打の.310、本塁打は5月19日の阪神戦と同26日の西武戦に打った2本だけ。一塁手あるいは代打で出たときには259打数57安打で.220で13本塁打。つまり、本塁打は捕手では42打数で1本の割合だったが、捕手以外では19.9打数で1本の割合だ。

 捕手以外だと打率は低いが、本塁打をかなり打つことができたが、果たしてこれがマスクをかぶらなかったメリットなのか・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

この記事はいかがでしたか?

記録の手帳

記録の手帳

プロ野球アナリスト千葉功によるコラム。様々な数値から野球の面白さを解説。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング