入団当初はレジェンドと似た名前が話題を呼んだ。その後はケガに見舞われた時期もあったが、意識転換でプラスの原動力とし、着実に一軍のマウンドへと近づいている。 写真=大賀章好 「山本マサ」。しかし、レジェンド左腕の「昌」でなく「雅」。そんな話題を振り巻きながら、
山本雅士の1年目は始まった。「マサさんに申し訳ないような…」と苦笑いする純朴な青年は、マウンドで目つきが変わる。173センチと小柄ながら、目を見張る投げっぷり。成長曲線は右肩上がりを描いている。
一軍で迎えた2月の春季キャンプで、さまざまな「違い」を感じた。「たくさんの人に見られて緊張した」という環境面。もちろんプレーでも、「思うように空振りが取れない。そう簡単にはいかないんだなって」。
その不安に反して、出だしは良好だった。キャンプは一軍完走。3月20日のウエスタン・リーグの
阪神戦(鳴尾浜)での初登板から5試合連続で計5イニングを無失点に抑えた。貫いたのは自然体。「独立でやってきたことをそのまま出そう」。迷いなく、思いっ切り腕が振れた。
だが、ほどなくしてカベにぶつかる。徐々に痛打が増え、4月30日の
広島戦(ナゴヤ)では、2/3回を3安打1四球で3失点。「何かおかしい」と疑心暗鬼が顔をのぞかせる。同時に襲ってきた肩とヒジの痛み。じん帯損傷と診断を受けた。
悩みの中での故障。踏んだり蹴ったりの状況でもあえて「ケガの功名」と考えた。「ゆっくり自分のフォームを見直そう」。焦って変化を求めるのでなく、原点に。練習時間の多くを下半身強化に充てた。
意を決して偉大な先輩にも助言を求めた。二軍調整を続ける
山本昌の直球を見て感じた球速以上の速さ。「どうすれば真っすぐのキレが出せますか?」。父親よりも年上の左腕は・・・
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