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2016キャンプレポート
ソフトバンク・松田宣浩インタビュー 掴みとる“3つのキーワード”

 

2年連続日本一のソフトバンクで先頭に立ってきた「熱男」。昨年はヤクルトとの日本シリーズを制した直後に、メジャーでプレーする可能性を求めて海外FA宣言した。条件が折り合わず、残留することになったが、大声で仲間を鼓舞し、チームをもり立てるスタイルは変わらない。いや、2016年、さらにバージョンアップする。3年連続日本一を目指すチームの旗印、昨季を上回る“超熱男”の登場だ。
取材・構成=菊池仁志、写真=湯浅芳昭



迷い抜いて出した答え、生まれ変わった熱男


昨オフは手にした海外FAを宣言し、海外進出の可能性を探った。諸条件が折り合わず、ソフトバンクに残留することになったが、野球人・松田宣浩が生きる道を探る過程で悩み苦しみ、出した答えは、今季に臨む視界を明るくした。キャンプで汗にまみれて練習に取り組む姿は、33歳となる11年目のシーズンを最高のものにしようという熱意にあふれている。まずはFA宣言から残留にいたるまでの胸の内を聞く。

――11年目のシーズンをどのようなものにしたいと考えていますか。

松田 ホークスの3連覇が懸かっていますので、まずはそこに向かって進んでいきます。個人的には去年のシーズン後にFA宣言をして、2カ月、本当に迷ったんですけど日本に残ることを決めました。10年目が終わったところでしっかりと区切ることができたので、新しく始まる野球人生の1年目にしっかりしたものを出したいなと、今、新鮮な気持ちですよ。

――迷いがなくなり、スッキリとシーズンに向かえますね。

松田 それはそうですよ。今回、いろんな方を巻き込んでしまいました。FA権を行使してからの2カ月は本当に考え抜きましたからね。たくさんの方の話を聞いたりできたことは貴重な経験になりました。そういったものは、入団からこれまでの10年があったから得られたものです。そしてFA権を行使したから見えた世界があります。それらを全部踏まえた上で、悩んで自分で決めたので、スッキリした気持ちです。気持ちも若々しくやっています。

――見えた世界というのは?

松田 FA権を行使せずにソフトバンクでプレーすることをすんなり決めていれば、聞けなかった話がたくさんあります。メジャーの奥深い話を聞いて、その風景を見せてもらったってことです。実際に行く、行かないを別にして、そういった話を聞けただけでもいい経験になりました。メジャーがどんな感じなのか聞けて、新鮮でしたね。

――FA宣言は、松田宣浩というプレーヤーの価値を確認する作業となったのではないでしょうか。

松田 アメリカで、メジャーで、僕がどんな評価を得ているのか、行く、行かないを置いておいて、確認したかったのが宣言した理由の一つでもありました。そういった意味でも、メジャーの評価をいただいて、これまでの10年間が間違っていなかったと思えたのが、FA宣言したから得られた結果です。本当にいい答えを出せたと思うので、今は必死に野球をやっています。

――今後の自信にもつながったのではないですか。

松田 誰でもが、そうやって声を掛けてもらえるわけではありません。近年、ケガなく結果を出してきたからそういう評価をいただいたと思います。そこには自信を持っていいと思います。

――昨年、ヤクルトとの日本シリーズでは日本一の直前に三塁のポジションで涙を浮かべていました。それはFAと関係あるものですか。

松田 それは関係ないですよ。2年間、選手会長をやったのですが、チームのことを一番に考えてやってきて、目標は2年連続で日本一の選手会長になることでした。それがあとアウト一つで達成できると思って、こみ上げてくるものがあったんです。

――常に全力を投入するのが松田選手のスタイルですが、完全燃焼できたとの思いが、その涙やFA宣言につながった面はありませんか。

松田 いや、それはないですね。チームは2連覇していますけど、僕個人が完全燃焼できたという思いは1個もないです。個人タイトルも獲ったことがないですしね。日本一のチームで試合に出させてもらっていますから、まだまだやり遂げないといけないものはたくさんあります。

――新しいモチベーションが必要だったのでもない?

松田 違いますね。モチベーションはホークスの中にまだまだあります。自分でやり切ったと言えるプレーヤーでは、まだありませんから。そういった感覚でFA宣言したわけではありません。

――メジャー挑戦の可能性を探った一方で、国内他球団への移籍の選択肢は消しました。それはなぜだったのでしょうか。

松田 FA宣言に関してホークスと話をしたときに、「メジャーに行きたいという気持ちは分かるから、いくらでも待つ」と言ってくださったことが一番です。僕はFA宣言して残留ということは許されないと思っていたんですけどね、実際は。でも、待つと言ってくださったときに、やはり国内の他球団は選択肢からなくなった。日本でやるのか、アメリカでやるのかの選択です。球団にも恩を感じましたし、感謝しないといけませんから、出るとしてもメジャーだなと。違う国の違う野球があるところに行くのか、ホークスに残るのかという決断に絞りました。

――球団としても、松田選手の存在が必要だったのでしょう。

松田 球団からしたら、FA宣言してほしくなかったと思うんですけど、それも「自分の権利だから」と尊重してくれました。だからこそ、僕も2カ月ちゃんと考えたので、ホークスにしっかり貢献できるように頑張っていきます。

本職はサード、目指すは長嶋茂雄


メジャーを断念した理由の一つにポジションの問題があった。本職の三塁以外にも遊撃、二塁、外野守備に就くことを求められたのだ。入団から10年間、三塁手として存在価値を高め、そのポジションを基盤にして戦ってきた。松田とサードのポジションはイコールで常に結ばれるもの。ホットコーナーへの強いこだわりがある。



――キャンプは初日からものすごい練習量をこなしています・・・

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