文=斎藤寿子 開幕時、これほどまでの活躍をどれだけの人が想像できただろうか。9月13日のロッテ戦(西武プリンス)で快挙まであと1本と迫っていた秋山翔吾(西武)が3打席目、涌井秀章から安打を放ち、史上6人目となるシーズン200安打を達成した。 今季の好調の要因は、打撃フォームの修正にあった。秋山は、昨季までバットを高い位置で構えていた。しかし、昨季は開幕スタメン入りするも打率1割台とスランプに陥り、二軍降格を経験した。そこで何かを変えようと参考にしたのがチームメートの
森友哉のフォームだった。森のように、バットの構える位置を低くしたのだ。すると今季はバッティングが安定し、6月から7月にかけては31試合連続安打を放つなど、安打を量産した。

9月13日のロッテ戦[西武プリンス]、5回に涌井から三塁内野安打を放ち、200安打を達成[写真=高塩隆]
しかし、彼のすごさは安打数だけに限らない。7月14日、
楽天戦(西武プリンス)で見せた「フォア・ザ・チーム」の四球もまた見事だった。その日、連続安打の日本新記録を目前にしながら、延長10回裏の第5打席、秋山は迷わず四球を選んだ。その結果、チームは
中村剛也の3ランでサヨナラ勝ちをしている。「自分だったら、おそらく手を出してしまったでしょうね」と語るのは、八戸大学時代の恩師である藤木豊氏(現明秀学園日立高校野球部コーチ)だ。
「負ければ終わりのアマチュアだったら、チームの勝利を優先というのも分かります。でも、プロの場合は長いシーズンの中の1試合。ましてや日本新記録を目前にしているわけですからね。あれは秋山翔吾という人間が凝縮されたシーンでした」
実は藤木氏は、「ウナギイヌ」という愛称の名付け親でもある・・・
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