今週から始まる新連載は、2015年に目覚ましい活躍を見せた選手を取り上げる。最初に登場するのは日本ハムのチャンスメーカー・中島卓也だ。今季は二塁の田中賢介と鉄壁の二遊間を形成し、何度も堅い守りで投手陣を助けてきた。また、攻撃時においても大活躍。驚異的な粘りと俊足で相手にとって嫌がられる存在だった。 取材・構成=池田晋、写真=BBM 14年は二番・二塁手のレギュラーに定着。打撃では一番・
西川遥輝とのコンビでチャンスを生み出し、何度もチームの得点につなげた。さらに
オリックス、
ソフトバンクとのクライマックスシリーズを経験して、一回り大きく成長。特に印象的だったのがオリックスとの第1戦だ。7回一死一、三塁の場面で見事なセーフティースクイズを決め、チームを勢いに乗せた。
さらなる飛躍が期待された今季は、見事に成長した姿を披露し、周囲の期待に応えている。34盗塁で盗塁王を獲得し、遊撃手のベストナインにも選ばれた。
「(ベストナインは)初めての受賞になりますが、皆さんからこのような評価をいただき、本当にうれしく思います。今年1年だけではなく、ここから2年、3年と連続で受賞できるよう、さらに磨きをかけていきたいです。受賞できたことを誇りに頑張っていきます」 13、14年シーズンは
大引啓次が遊撃手を任されていた。二塁手のレギュラー候補だった西川が負傷で離脱し、シーズン途中から外野手に回ったことで、中島卓に二塁でのチャンスが巡ってきた。そこで安定した守備を見せ、大引とのコンビを確立させて定着。だが、シーズン終了後に田中賢介が復帰との一報が流れる。セカンドのスペシャリスト・田中賢の復帰により、中島卓はふたたび控えに回る可能性もあった。だが、結果的に15年は大引が
ヤクルトへの移籍したため、逆に、中島卓がかねてから希望していた遊撃手に定着することができた。
「今年はショート一本でやりたいと思っていました。最初はショートから一塁まで投げる距離が遠いと感じることもあったけど、キャンプのころから普通にやっていけましたね。もともとショートを守っていたこともあり、あまり違和感はなかったです。セカンドを経験したことで、相手にどんな送球をしたほうが次に投げやすいかなど、勉強になることもたくさんありました」 高校時代の中島卓を見い出したスカウトは、その美しく正確なスローイングとグラブさばきにほれ込んだという。そのころから優れていたショートとしての守備力にさらに磨きをかけ、今季は二塁の田中賢と組む名コンビを確立させた。
昨季は併殺が取れる場面で送球の微妙なズレやミスによって一死しか取れないという“記録に残らないミス”が目立ったが、今季は取れる場面では逃さず取れるようになっている。併殺プレーは
白井一幸コーチとともに昨季から意識的に取り組んできた課題だが、自身の成長と田中賢との相乗効果で、今年はさらに確実性が増している。
また、脚力を生かした守備範囲の広さによっても、何度も投手陣とチームを助けてきた。今季の日本ハムがスタートダッシュで1位を快走したのには、さまざまな要因があるが、二遊間守備の安定は欠かせないものだった。田中賢も同時にベストナインに選ばれたという事実からも、2人のコンビがいかにリーグ内でも優れていたかが分かる。
走塁も入団時から評価が高く、レギュラーに定着する前は、守備固めや代走での出場が多かった。今季盗塁王を獲得したが、このタイトルへのこだわりは、実はそれほど強くなかった。出塁して、走るチャンスがあれば次の塁を狙うという意識を持ち続けた結果だという。
「足はメチャクチャ速いというわけではないですよ。(西川)遥輝とダイさん(陽岱鋼)のほうが速いし、今年盗塁王と言っても34個ですからね。遥輝は43個、ダイさんは過去に47個で盗塁王になっているし、本多雄一さん(ソフトバンク)は60個の年もあった。それに比べるとかなり少ないですよね。ただ、30個は目標にしていたので、それを達成できたのはうれしいです。タイトルを意識して狙ったのは最後の1、2個だけですよ」と謙遜する。
さらに中島卓の盗塁理論にも迫った。足の速さだけではなく、さまざまな要素によって盗塁王・中島卓は生まれたのだ・・・
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