日本シリーズ連覇を勝ち取ることはできなかった。掲げたテーマを通して見えてきた新たな課題。悔しさを胸に秘め中嶋聡監督は負けた瞬間からすぐに前を見据えた。 文=氏原英明 写真=毛受亮介 
2年連続日本一はならなかったが、中嶋監督は敗戦から強くなるためのヒントをつかんだはずだ
真逆だった投手と野手
表彰式終了後の中嶋聡監督の苦虫を殺したような言葉が悔しさを象徴していた。
「勝って終わるのと、負けて終わるのとでは違いますし、優勝したことを忘れるくらいぶっ叩かれますから」
3勝3敗のタイに持ち込みながら、シリーズ最終戦は
阪神打線にいいようにやられたのだから悔しさは募るばかりだろう。
オリックスの日本一連覇は夢へと消えた。
「全員で勝つ」というテーマは昨季から変わらなかったが、そこにちょっとした課題があったのも事実だったのかもしれない。
例えば一番打者。今季もたくさんの選手が起用されたが、それほど一軍レベルの選手が多くいることの証である一方、取っ替え、引っ替え起用するあまり、最後まで信頼できる選手が定まらなかったとも言える。事実、シリーズ第1戦(京セラドーム)に2年目の
池田陵真を抜擢したのにはちょっと驚いた。
どの選手を中心にしていくかの起用が定まらないなら、若手の勢いを買ったと言うものだろう。
確かに、池田は初球からスイングしていくなどの姿勢は見せたが、この大舞台で一番打者を背負わせるには荷が重いと言わざるを得ない。経験がまだまだ足りなかった。
「(起用の意図は)いろいろとある。全部言えることではないけどね。勢いが出てくることを期待はしています」
第1戦目の試合後、中嶋監督はそう起用した理由を説明したが、のちに池田をスタメン起用どころか・・・
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