「『アレのアレ』を達成できて本当に満足で、いい形で1年を終われた──」岡田彰布監督 本誌取材班=椎屋博幸、鶴田成秀 写真=毛受亮介、高原由佳、高塩隆、宮原和也、牛島寿人、佐藤真一 待ち焦がれた瞬間がついに訪れた。
杉本裕太郎が高々と打ち上げた打球を、左翼・
ノイジーが中堅・
近本光司と競い合うようにしてウイニングボールをつかむ。59年ぶりに実現した関西シリーズは、阪神が38年ぶりの悲願、「アレのアレ」を成し遂げるという結末。歓喜の輪が広がり、岡田彰布監督の体が5度、宙に舞った。

岡田監督は就任1年目から阪神をリーグ優勝、日本一へと導いた
阪神が取ればオリックスが取り返し、阪神が王手をかければオリックスが逆王手をかける。激しくうねった一進一退の流れが渦巻き、10年ぶりとなる3勝3敗での第7戦へ突入。最後は2年連続日本一を狙うオリックスのプライドを、阪神の執念がわずかに上回った。

悲願の日本一を果たした阪神ナインたちの笑顔は絶えることがなかった

胴上げ投手となった岩崎優は同期入団で7月に急逝した横田慎太郎さんのユニフォームを手に宙を舞った
「最後の最後まで、どちらに転ぶか分からない──プロ野球の最後の締めくくりとして、いいゲームができてよかった。『アレのアレ』を達成できて本当に満足で、いい形で1年を終われた」
選手としてつかんだ栄光から38年、監督としても日本一の座をつかみ取った岡田監督の言葉には、万感の思いがこもっていた。

38年ぶりの美酒。“本番の”ビールかけで選手たちは喜びに酔いしれた