強力かつ安定した先発ローテ形成へ──。来る2024年シーズン、新時代の到来を予感させるオリックス先発陣の中で、この右腕のさらなる飛躍も待たれるところだ。鍛錬を積み、助言に耳を傾け、経験を積んできた男は、今季6勝負けなしの好成績をマーク。それでも進化の途中に過ぎない。自らの投球を振り返る“目”は、掲げる目標『2ケタ勝利』にたどり着くための成長曲線を見据えたものでもある。 取材・構成=鶴田成秀 写真=梅原沙織 
オリックス・東晃平[2024年=7年目/25歳]
助言が生きた再習得
冷静に自分を見る目を持っているのは、落ち着いた口調が物語る。日本シリーズを戦い終えてから数日後。秋季キャンプを張る高知で、今季の自分を受け止めつつ、来季を見据えた言葉が並ぶのは、さらなる成長を期す思いにほかならない。 ──6勝負けなしで終えた今年を『想像以上』と言っていましたが、それは数字、それとも内容なのでしょうか。
東 どちらもですけど、数字を残せたのは見えることでもあるので、そこは良かったな、と。昨年は1勝だったので、今年は5勝を目標にしていたんです。開幕は先発ローテに入ることができず、中継ぎとして迎え、その後にファームに落ちて。5つも勝てないんじゃないかなって思い……『2つ勝てれば』と考え直していたんです。終わってみれば、当初の目標『5勝』を超えることができたので。
──直球の平均球速が149.4キロに上がり、変化球の精度も上がってカウントを整えるなど6勝は成長を示すものでした。
東 中でも自分では真っすぐが強くなったと感じているんです。それと同時に平均球速ですよね。イニングを重ねるごとに球速が落ちていましたが改善できた。球速が落ちなくなったので長いイニングを投げられるようになったことで、勝てる可能性も上がったと思うんです。どんなに良いピッチングをしても5回は投げ切らないといけませんから。
──変化球では、ツーシームも投げ始めたと思います。
東 そうなんです。ツーシームを投げることで投球の幅が広がり、楽になった感じなんです。もともとスライダー、カット(ボール)、カーブと、こっち(右打者の外角)に曲がるボールばかりだったので、逆に変化するボールを投げたことで、組み立ての幅が広がったというか。真っすぐが強くなったことに加えて、変化球で幅が広がったことも大きかったです。
──ツーシームを覚えようと思った理由、きっかけは何だったのでしょう。
東 もともと投げていたんです。2年前のフェ
ニックス・リーグでは投げていて。そのときは・・・
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