パ・リーグは開幕序盤からソフトバンクが勝利を重ね、2位・ロッテに10ゲーム差をつけ独走態勢を築いた。果たして、このまま一気にソフトバンクが頂点まで突っ走るか。一方でAクラス入り争いは激しさを増している。いずれにせよ、いろいろな意味で目の離せない戦いは続く。
注)チーム、選手成績は8月4日現在。メンバー表の選手名の横は背番号、記号は○=新入団、◎=育成から支配下登録、△=NPB他球団から移籍、□=NPB復帰、※は配置転換、選手の年齢は満年齢


　開幕直後は投打がかみ合わず苦しい戦いを強いられたが、交流戦に入って流れが変わった。辰己涼介を三番に置き、不振の浅村栄斗をスタメンから外して鈴木大地を四番に据えるなど打線をテコ入れ。さらに投手陣も調子を落とした岸孝之やC.ポンセに代わりドライチ左腕・古謝樹や松井友飛ら若手を積極起用するとチームが活性化。そこに4年目の藤井聖が球団左腕では初の自身7連勝などでチームをけん引し、球団初の交流戦優勝を果たし借金を0にした。

　しかし、リーグ戦に戻ると再びパ・リーグの投手たちに苦しめられてしまう。それだけに主砲・浅村と昨季の盗塁王・小深田大翔の復調は得点力アップのカギになる。だが主力が苦しむ中、最多安打のタイトル争いに顔を出している小郷裕哉、代打でも頼りになる茂木栄五郎の存在は大きい。さらに7月2日にプロ初出場を果たした中島大輔も攻守で躍動している。8月2日の西武戦(ベルーナ)では今井達也から貴重な逆転2ランをプロ初本塁打でマーク。外野のレギュラー争いに名乗りを上げたルーキーのプレーは後半戦も注目だ。

　一方の投手陣は負傷離脱していた藤平尚真の復活に加え、鈴木翔天が球団新記録となる25試合連続無失点をマークするなど好調を維持。新クローザー・則本昂大も抜群の安定感でリーグトップのセーブ数をマークするなどリリーフ陣は安定している。それだけに勝敗のカギを握るのはやはり先発陣。則本の抑え転向により柱を失ったことで安定感を欠き、リーグ最下位の防御率の要因となっている。新エース候補の早川隆久は及第点の働きだが、期待されていた荘司康誠が体調不良なども重なり離脱。内星龍も勝ち星を重ねられず、瀧中瞭太は打ち込まれる試合が多く期待に応えられない。8月4日にはリリーフの津留崎大成を今季初先発させるなど苦しい懐事情を露呈することに。ベテランの岸、ポンセの復調はもちろん、若手の台頭も不可欠だ。

　長打が少なく大量得点が望めないチーム事情もあり、試合序盤に点差をつけられては追いつけない。リリーフは盤石だけに先発陣が試合を作れなければ勝ち試合は増えない。

　投打ともに課題は多いが、今江敏晃監督が強調する「粘り強さ」を貫き、チーム一丸となって戦い抜ければ、3年ぶりのAクラス入りも見えてくるだろう。

＜E担が選ぶ＞終盤戦の注目選手　小郷裕哉

チームの顔になれ！

　昨季のブレークを経て今季はリードオフマンに定着。6月11日の巨人戦(楽天モバイル)ではプロ初のサヨナラ打など勝負強さも備わってきた。安打数、盗塁数でリーグ上位の数字をマークするなど攻守走で躍動している。貪欲にタイトル争いに絡み、チームの顔へと成長を遂げたい。(CA)

東北楽天ゴールデンイーグルス　2024メンバー表

【監督】
98今江敏晃

【一軍コーチ】
74渡辺直人、93後藤武敏、89川島慶三、83永井怜、81青山浩二、82的場直樹、86塩川達也、76岡田幸文

【二軍監督】
88三木肇

【二軍コーチ】
84雄平、95横尾俊建、80石井貴、75小山伸一郎、91久保裕也、96田中雅彦、92奥村展征、85牧田明久、87真喜志康永、90鷹野史寿

【投手】
11岸孝之、13C.ポンセ、14則本昂大、17古謝樹、18田中将大、19荘司康誠、20N.ターリー、21早川隆久、22小孫竜二、28酒居知史、29高田孝一、31渡辺翔太、38弓削隼人、40櫻井周斗、41伊藤茉央、43宋家豪、45松井友飛、46藤平尚真、47藤井聖、49西垣雅矢、52津留崎大成、53坂井陽翔、54日當直喜、56鈴木翔天、57瀧中瞭太、58辛島航、59泰勝利、61松田啄磨、64林優樹、67大内誠弥、69内星龍、71吉川雄大、72宮森智志、◎79清宮虎多朗

【捕手】
2太田光、44田中貴也、55安田悠馬、65堀内謙伍、70石原彪

【内野手】
0小深田大翔、3浅村栄斗、4阿部寿樹、5茂木栄五郎、7鈴木大地、23M.フランコ、24黒川史陽、30平良竜哉、34山崎剛、39伊藤裕季也、◎42山田遥楓、48渡邊佳明、60ワォーターズ璃海ジュミル、63入江大樹、66村林一輝、68青野拓海、78辰見鴻之介

【外野手】
8辰己涼介、9吉野創士、25田中和基、27岡島豪郎、32中島大輔、35島内宏明、36前田銀治、50武藤敦貴、51小郷裕哉

【移籍】なし
【退団】なし