開幕からほぼ全試合で扇の要を任されている。昨秋と今春に侍ジャパンに選ばれた田村龍弘は、高卒6年目にしてロッテ不動のレギュラーに成長した。

　侍ジャパン選出時は「打撃で選ばれたと思う」と語っていたが、リードを含めた守備面の評価も高い。特に目立つのはボールを捕ってからの素早さだ。バントの処理や走者を刺すプレーはスムーズそのもので、的場直樹戦略兼バッテリーコーチも「一番の魅力」と太鼓判を押す。

　田村は青森・光星学院高（現・八戸学院光星高）の2年時に三塁手で甲子園に出場。内野手として育ったことで、長所が生まれた。

　多岐にわたる捕手のプレーの中で、本人はキャッチングを課題に挙げる。「しっかりとボールをつかめれば、いいスローイングにつながる。いいポイントで捕れる人はブロック動作もいいから」。的場コーチも「きわどい球をストライク判定してもらえるようになれば投手はグッと楽になる。クローズアップされない部分だが、そこが向上したらもっと投手に信頼される」と語る。

　昨季までは判定への不満が態度に出て、審判とうまくいかないことがあったという。だが清水将海、的場両バッテリーコーチが加入し、そうした細かな部分での成長も追求していくことになった。「審判も人間。ムッとさせないようにコミュニケーションすることも大事」とは的場コーチの談。

　愛嬌のある性格の田村なら、そんな課題もすぐにクリアしてしまいそうだ。

写真＝BBM