
練習でも捕球後の素早い送球を心がけている平田
1つ先の塁を奪う。その積極的な走塁は、試合の流れを変えることがある。だからこそ、1つ先の塁を許すのを防ぐプレーにもまた、同等の価値がある。
中日の外野陣は、中心に
大島洋平、左に
ソイロ・アルモンテの布陣が開幕から続いている。そして、右翼に
平田良介が入るとき、守備網はグッと引き締まる。
5月10日時点で、補殺の数ではセ・リーグの外野手でトップの4。打球を捕り、小さなテークバックから低く、強く、ボールが放たれる。「捕ってから素早く投げられるのが平田の持ち味」。そう話すのは
長嶋清幸外野守備走塁コーチだ。平田も自信を口にする。「僕は特別に肩が強いわけではない。その分、練習でも捕ってから早く投げることを意識しています」。
捕球から送球までのスピードこそが最大の長所。加えて、コントロールの正確性もチーム随一。その原点は、大阪桐蔭高3年の9月に出場したアジアAAA野球選手権にあった。右肩関節唇損傷のケガを負ったことで、肩に負担をかけず、素早い送球フォームを模索。その結果として「今の投げ方になった」という。
象徴的なシーンがある。4月14日の横浜スタジアム、
DeNA戦。5回の守備だった。無死一塁で嶺井の平凡な右飛を捕球すると、ハーフウェーにいた一塁走者の楠本の帰塁よりも早く一塁に送球。併殺を完成させた。スローイングで走者を刺す。スキを常にうかがい、見逃さない。平田の真骨頂が凝縮されていた。
写真=BBM