
今井が投じる平均球速151キロを誇る直球は力強い
今季、「ガラリと変わった」と抜群の評価を得ているのが
今井達也だ。作新学院高3年時に夏の甲子園優勝投手となっているだけに、もともとポテンシャルの高さは誰もが認めるところだった。だが、昨季までの6年間は器用なだけに結果が出ないとすぐにフォームや取り組みなどを変えてしまうため、なかなか“自分”を固めることができずにいた。
しかし、昨オフに鴻江寿治パーソナルトレーナーの指導を受けたことで、自分の感覚にマッチする投球フォームにたどり着き、一気に才能が開花した。
「自分の体に合った投げ方をしているので、力のロスがなく、ボールに力のすべてが伝わっていると実感できます」
その言葉が正しいのは、投げる球を見れば一目瞭然。力感のないフォームから繰り出す直球は、常時150キロを超えている。さらに以前から「ベースのところでもう一段階伸びてくる」と何人もの捕手が表現してきた、いわゆる“ホップ”する球質。その上で、良くも悪くもコントロールがアバウトで程よく荒れるため、打者は打ちづらい。
今井自身はスライダーなど変化球にも自信を持っており、昨季までは直球にそこまでのこだわりを持っていなかった。だが、今季は一変。先発の主軸としての自覚が増したこともあり、「リスクなく確実にアウトを取れる奪三振とイニング数」にこだわるようになったことで直球の重要さを再認識。これまで以上に精度を追い求めるようになった。
「やはり、真っすぐあっての変化球なので」
9回を投げても150キロ超を計測する今井の速球。さらに程よく荒れる。相手打者にとっては、さぞ厄介だろう。
写真=BBM