
四番に座り続け、チームを頂点に導いた大山
大山悠輔が1シーズンを通して「四番」の位置に立ち続けた。18年ぶりのリーグ優勝を決めた9月14日の
巨人戦(甲子園)でも先制点となる犠飛を放った。待ちに待った歓喜の輪の中で人目をはばからず大泣きした。本人にとっては感動もあっただろうが、「四番」の呪縛から解き放たれた表れだろう。
「家族の存在が一番だった。どんな結果であれ、いつもどおりに接してくれた。これほど心強いことはなかった」
3年目の2019年に全143試合出場で規定打席に到達。7年目は結果を求められたシーズンだったが大山が「四番」を外れることはなかった。開幕後の3、4月は3割超の打率をキープ。いったん数字は下がったが、夏場になって8月の月間打率.337が示したように再び上昇した。どのチームの主砲にも言えることだが、特に
阪神の場合、勝っても負けても「四番」がチームの矢面に立たされるだけに重圧がかかったはずだ。
昨季は「三番」「四番」「五番」「六番」「七番」と固定されない中で打席に立ってきた。だが昨秋に就任した
岡田彰布監督は早々と一塁のポジション固定を明言し、さらにシーズンを通して「四番」の座から動かさなかった。
監督の意向に大山は「プレッシャーもあると思うが身が引き締まる」といって「覚悟」という2文字に自身の思いを込めた。それが「虎の四番」を死守する覚悟だった。
写真=BBM